【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
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調査兵団本部へと帰還する頃、辺りは夕闇に包まれ、西の空だけが朱く染まっていた。
3日前、ここから100名余りの兵士が壁外へと出発した。
しかし、今日帰還出来た兵士の数は20名にも満たなかった。
そのうち自力で動く事が出来る者は約半数。
多大な損害を目の当たりにし、残留の兵士達の間にも、絶望感が広がっていった。
本部へと集まり出した兵士の中に、リヴァイの姿があった。
訓練中であったのであろう、その腰には立体機動装置が着けられている。
壁にもたれながら、その瞳はじっとサラを見つめていた。
そんなリヴァイへ、サラはゆっくりと歩み寄る。
冷たい三白眼が、わずかに潤んだような気がした。
「リヴァイ…早くここを去れ。
憲兵団が君を捕らえに来るだろう。」
「あ?どういう事だ?」
「調査兵団は…終わったんだ。」
サラは、低く抑揚のない言葉をリヴァイへと向ける。
“調査兵団は終わった”
身を引き裂かれるような想いがサラを襲った。
人類のためにと心臓を捧げ、これまで壁外で死んでいった仲間達や弟。
そして、志半ばにして散っていった父であるエルヴィン…。
巨人から世界を取り戻すための糧になるのならばと、その死さえも“仕方が無い事”と受け入れてきた。
数え切れない犠牲者のもと、成り立っていた調査兵団が今日終わりを迎える。
私達はただ、壁外で無益な殺生を繰り返したに過ぎないのかと…サラは涙を滲ませた。
(父さん…私はあなたの夢を叶える事が出来そうにありません。)
肩を震わせ、拳を握り締めるサラを、リヴァイはただ見つめていた。