【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
「…サラ?」
サラの姿に気付き、キースは悲嘆の表情を浮かべる。
悔恨の念にかられ、絶望に満ちたその表情は、もはやサラが今まで見てきた“強くたくましいキース団長”ではなかった。
まるで死人のような青白い顔に、ひどく充血した瞳。
生気のない、魂が抜けたようなキースの姿に、サラは言葉を失い、ただ立ち尽くすばかりであった。
「…生きていたんだな。」
細くかすれた声で、キースはポツリとつぶやく。
「はい。
…後方部隊・攻撃班、帰還出来たのは私だけです。」
そう言うとサラは、固く目を閉じ、深々と頭を下げながらキースへと敬礼をした。
そんなサラの肩を、キースは強く掴む。
傷だらけのキースの手は、赤黒い血にまみれ、己の無力さを嘆くかのようにひどく震えていた。
「もう…いいんだ、サラ…。
…俺は…勘違いをしていたようだ。
自分は特別な存在であると…選ばれし者であると。
特別な存在はいる。
ただ…それが自分ではなかったんだ。
“凡人”は何も成し遂げる事が出来ない…。
サラ…俺はこのまま王都へ報告に向かう。
それが最後の任務になるだろう。
調査兵団は…終わりだ。」
唇を噛み締め、キースへと敬礼し続けるサラの瞳から、涙が溢れる。
その涙を、震えるキースの手がそっと拭った。
背を向け、立ち去るキースの背中が徐々に小さくなっていく。
自由の翼を背負ったキースの背中を、サラはただ見つめていた。