【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
シガンシナ区壁門をくぐり、人だかりの中を進む。
怪我を負い、身体を引きずるようにして歩く兵士達を追い越し、前方にいるであろうキース、そしてモーゼスのもとへとサラは急いだ。
「今回もひどいな…。」
「これだけしか返ってこれなかったのか…。」
ざわつく民衆の言葉が胸を刺す。
数えるほどしかいない兵士の中に、自由の翼を背負ったキースの背中を見付けた。
「キース団長…」
サラがそう声を掛けた瞬間だった。
キースの足元で泣き崩れる、モーゼスの母親の姿が見えた。
地面にうずくまり、肩を震わせ、悲鳴にも似た泣き声を上げる姿。
その胸に抱き締めているのは、傷だらけのモーゼスの右手だった。
クシャクシャと、サラの頭をいつも優しく撫でてくれたモーゼスの右手。
“モーゼス分隊長…私はもう子供ではないんですから。”
“いや、初めて会った時からお前はさほど変わっていないだろう。
ちびまゆげのままだ。”
“もう、やめてください。”
優しい笑みを浮かべながらからかい、自分の頭を撫で続けるモーゼスの姿を、サラは思い出していた。
「モーゼス…。」
そうつぶやきながら、モーゼスの母親へと歩み寄ろうとするサラの腕を、ミケの手が強く掴んだ。
ミケが首を横に振る。
どうする事も出来ないこの惨状に、サラはただ立ち尽くし、見ている事しか出来なかった。