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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第17章 強く結ぶ~決別~


ローターの顔から、徐々に赤みが失われていく。

先ほど重ねたばかりの唇さえも、青紫へと色を変えていた。
ローターを抱き起こしていた腕には、ねっとりとした冷たい血液がまとわりつく。

柔らかな栗色の髪が、初秋の風にそっと揺れた。



もう二度と動く事のないローターの身体を、サラは抱きかかえ続けた。





どれくらい時間が経っただろう。

ふと、サラの耳に馬の駆ける音が聞こえた。
力強く地面を蹴り上げ、こちらへと向かう1頭の馬の足音。

主人を亡くし、本隊とはぐれてしまった調査兵団の馬だろうかと、サラは足音のする方向へと耳をすませる。



その馬の足音は、サラの背後でピタリと止まった。



「生存者はお前だけか!?」



ローターの身体を抱きかかえるサラへと、聴き慣れた声が馬上から問い掛ける。



「えぇ。
悪いが…遺体を運ぶのを手伝って欲しい。」



振り返ると、そこにはミケの姿があった。



体温が失われ、冷たくなっていくローターの遺体を馬に乗せた。
振り落とされないようにと、馬の胴に紐で強く縛り付ける。

必ず連れて帰るからと、サラはローターの頬を優しく撫でた。





「本隊が第2補給所を出た直後、第3補給所付近から、巨人が蒸発する煙が見えた。
お前がいると思い、引き返して来た。

今から本隊と合流する事は不可能だろう。
本隊が第2補給所を出てから、5時間は経っている。」

「ミケ…いつもすまない。
このまま最短ルートでシガンシナ区を目指そう。」



ローターの遺体を乗せた馬を連れ、サラはミケとともにシガンシナ区壁門へと馬を走らせる。

髪を撫でる色なき風に、妙な胸騒ぎを感じていた。

どこまでも続く青空が、なぜか不気味に思えてならなかった。




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