【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
壁外の夜明けは早く感じた。
毛布にくるまり寝息を立てるローターを横目に、サラは身支度を整えるとまだ薄暗い補給所の外へと向かう。
今日の日暮れまでにはシガンシナ区壁門までたどり着きたい。
キース率いる調査兵団本隊も、第2補給所からシガンシナ区壁門を目指し、昼過ぎには帰還するだろう。
しかし…昨日の段階で、一体何人が第2補給所へとたどり着けたのだろうか。
ふと、モーゼスの姿が頭をよぎった。
もし無事に帰還する事が出来たなら、モーゼスとともに里帰りをしよう。
そんな事を思った。
サラは古めかしい石造りの補給所を出ると、傍らに建てられた見張り台へと登る。
東の空が徐々に明るさをまとい、朱色の太陽が顔を覗かせていた。
巨人の討伐よりも、ローターを無事帰還させる事を優先すべきと、サラは壁門までの最短ルートを模索する。
複数の奇行種にさえ遭遇しなければ、決して難しい事ではないだろう。
朝の冷たい風になびく黒髪を、手ぐしでひとつに結わえた。
サラは第2補給所がある方角を見つめる。
(キース団長、そしてモーゼス分隊長…。
どうかご武運をお祈りしております。)
サラは右の拳を握り締め、瞳を閉じると力強い敬礼をした。