【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
「俺…本当は憲兵団に入るはずだったんです。」
そう話すローターの声は、いつも通りの穏やかなものだった。
少し生意気そうで、甘えるようなローターの声に、サラはそっと胸を撫で下ろす。
落ち着きを取り戻したのだろう、身体の震えはもう無かった。
「君の訓練兵時代の成績であればそうだろうな。」
憲兵団へ入団出来るのは、訓練成績上位10名のみである。
成績上位の者は皆、内地での安全な暮らしが保証された憲兵団を志願する傾向が強く、死亡率の高い調査兵団を志願する者はほとんどいなかった。
「俺が調査兵団を希望したのは、サラさんに出会ったからなんですよ。」
フッと笑いながら話すローターに、「どういう意味だ?」とサラは首を傾げる。
そんなサラを、ローターは笑顔で見つめた。
「サラさんは覚えていないかもしれないですけど、訓練兵時代、訓練所で教官室から出てくるサラさんと廊下ですれ違ったんです。
今からちょうど1年前です。」
1年前…それはキースのもとを訪れた日の事だった。
話を終え、教官室を後にするサラへ向け、すれ違い様に敬礼をしてきた1人の訓練兵がいた。
「あれは君だったのか。
訓練中であるはずの時間に、なぜあんな所をウロウロしているのかと不思議に思ったんだ。」
「怪我をしてしまって、医務室に行く途中でした。
俺…サラさんに見とれちゃって。
目が合って慌てて敬礼をしたんです。
そしたらサラさん、“頑張れよ、訓練兵。”って言ってくれたんですよ。」
「そんな事言ったか?」と笑うサラへ、「言いました。嬉しかったんですから。」と、ローターは少しいじけたような笑みを浮かべた。