【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
「怖いのか?」
震えるローターに、サラはそっと問いかける。
「怖くないですよ…。サラさんと一緒なら。」
そう答えるローターの顔はひどく青ざめていた。
見え透いた嘘をつく男だなとサラは思うが、恐怖に支配されまいとするローターの心情を察した。
「もう終わった。今日は早く寝ろ。
明日は日の出とともにここを発つ。」
そう言いながら、サラは結び目から余った縫合糸をナイフで切り離す。
「ありがとうございました。」
ローターは縫合された腕を押さえながら、ナイフのグリップへ針と縫合糸をしまうサラの横顔を見つめた。
「どうかしたか?」
「いえ…。」
「心配するな。私が寝ずに番をする。」
サラはナイフをしまい終えると、ひとつに結わえていた長い黒髪を解く。
生臭い血の臭いが鼻をついた。
床に置かれたランプの前でうずくまるローターの背中に、サラはそっと毛布を掛ける。
不安気な表情を浮かべ、毛布へとくるまるローターへ、「心配するな。」とサラは穏やかな笑みを向けた。
「少しでもいいから横になれ。
私は外の様子を見てくるよ。」
そう言いながらマントに手を伸ばすサラの身体を、突然、毛布にくるまったローターの腕が優しく包み込んだ。
「何のつもりだ?」
ローターと向かい合うようにして1枚の毛布にくるまり、サラは不快な表情を浮かべる。
「今日くらい…甘えさせて下さい。」
そう震えた声でつぶやき、今にも泣き出しそうな瞳のローターを、サラはなぜか拒む気持ちにはなれなかった。
ローターの身体がサラを優しく抱き寄せる。
震えるローターの背中に、サラはそっと腕を回した。
ドクンドクンと、強く脈打つローターの心臓の音が聞こえた。
ローターの身体が徐々に熱を帯びていくのが分かる。
女には慣れていると思っていたローターの意外な一面に、サラは穏やかな笑みをこぼした。
サラの腕に包まれたローターの大きな背中からは、徐々に震えが消えていった。