【進撃の巨人】 never ending dream R18
第17章 強く結ぶ~決別~
「成功する確率は五分五分でしょうか。
全ては攻撃班である私達の腕次第でしょう。」
そう、うつむきながら答えるサラの頭に、モーゼスは右手をポンと置く。
突然の事に驚き、顔を上げるサラへ、モーゼスは真面目な顔つきでこう告げた。
「万が一、キース団長の作戦が遂行不能になった場合…その後の指揮は俺が執る。
お前は巨人の討伐だけを考えろ。」
真剣なモーゼスの眼差しに、ざわめくばかりであったサラの心が徐々に落ち着きを取り戻していく。
幼い頃から兄のように慕っているモーゼスの言葉は、サラにとって何よりも心強いものであった。
「わかりました。」
思わず表情が緩まるサラの頭を、モーゼスの大きな右手がクシャクシャと撫でる。
「モーゼス分隊長…私はもう子供ではないんですから。」
「いや、初めて会った時からお前はさほど変わってないだろ。
“ちびまゆげ”のままだ。」
「もう、やめてください。」
優しい笑顔を浮かべながらからかうモーゼスに、サラの頬は赤みを帯びた。
辺りは既に明るかった。
兵舎と本部の間を行きかう兵士の姿も見えはじめた。
東の空から顔を覗かせはじめた朱色の光を背中に浴び、自分の頭を優しく撫で続けるモーゼスの姿を、サラは瞳に焼き付けた。