【進撃の巨人】 never ending dream R18
第16章 強く結ぶ~嫉妬~●
「知ってたんですか?」
ローターは困ったように頭をかいて笑う。
「君は…ふざけているのか?」
サラはローターの右手を掴む手に力を込めた。
「痛いですよ、サラさん。
ふざけていた訳じゃないんです。
サラさんの気を引きたかっただけです。」
そう言いながら、ローターは真剣な眼差しでサラを見つめた。
「それが“ふざけている”と言うんだよ。」
サラはローターの右手を放すと、強い口調でそう言い放ち、持ち場へと戻る。
「待って下さい、サラさん。」
立ち去ろうとするサラを、ローターは呼び止めた。
「サラさん。
俺、サラさんに相談があるんです。」
先ほどの笑顔が嘘のように、ローターは沈んだ表情を浮かべていた。
「相談なら、他の上官にしろ。」
「俺はサラさんに相談したいんです。
…サラさんは女子兵士の相談は聞くのに、男子兵士の相談は聞かないんですか?」
確かに、女子兵士から相談を持ち掛けられる事は多かった。
しかし、そのほとんどが恋愛に関するものであったため、恋愛経験がほとんどないサラは常に聞き役に徹していた。
ただ、それだけの事だった。
「サラさんは、男子兵士と女子兵士を差別するんですか?」
ローターが悲しげな声で問いかける。
「分かった。聞くよ。」
少し考えた後、サラはしぶしぶ首を縦に振った。