【進撃の巨人】 never ending dream R18
第16章 強く結ぶ~嫉妬~●
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寒空の中、訓練場には立体機動装置のワイヤーを巻き取る音とともに、風を切り裂くような剣の音が響いていた。
新兵達の訓練を眺めていたサラは「またか…。」とつぶやくと、1人の兵士へと近付く。
「ローター、何度言えば分かるんだ?
剣を逆手に持つなと言っただろ?」
剣を構え、アンカーを発射しようとしているローターの右手を、サラは強く掴んだ。
厳しい顔つきでローターを見上げるサラに対し、ローターは嬉しそうに表情を緩める。
「サラさん、今日は手が温かいですね。
まだ、熱があるんじゃないですか?」
ローターは左手に持っていた剣を鞘へしまうと、サラの額へと手を伸ばす。
「どうして君は私がいる時だけ剣を逆手に持つんだ?」
額へ触れようとするローターの手を払いのけながら、サラは強い口調で問いただした。
新兵の中では以前から、リヴァイへの憧れからか剣を逆手に持ちたがる者がおり、サラも何度か注意をした事があった。
もちろんローターにも幾度となく注意をしてきた。
しかし、何度サラが注意しようとも、ローターは剣を逆手に持つ事をやめようとはしない。
口で言って分からないのならば、別の方法を考えなければ…そう思っていた矢先、サラは高熱により医務室へと運ばれた。
医務室の窓から、外の訓練場で訓練を行う新兵達の姿を眺めていた時だった。
木々の間で立体機動装置を操りながら、巨人の模型のうなじを削ぐローターの姿が見えた。
その時、ローターの右手は、剣を逆手に持ってなどいなかったのだ。