【進撃の巨人】 never ending dream R18
第16章 強く結ぶ~嫉妬~●
リヴァイは読みかけの本をベッドへ放り投げると、不機嫌そうに廊下へと出る。
サラを軽視するようなローターの言葉に怒りが込み上げた。
それと同時に“手を握られた”とは一体どういう事なのだろうと、リヴァイの心は激しく動揺していた。
リヴァイは廊下の窓から、幹部棟を眺める。
薄暗い廊下に、サラの部屋のドアが見えた。
今日もサラは医務室で休んでいるだろう。
リヴァイは誰もいないサラの部屋へと向かった。
薄暗い幹部棟の廊下へ着くと、サラの部屋の前にたたずむ男の姿があった。
背の高い金髪の男。
兵服は身に着けておらず、その横顔は見慣れないものであった。
その男はサラの部屋のドアをノックすると、中から返事がない事に首をかしげ、どうしたものかと考えている様子だった。
「サラなら医務室だ。」
リヴァイは男へと声をかける。
振りむいた男の顔に、やはり見覚えはなかった。
「…誰だ?新兵か?」
男が尋ねる。
「テメェこそ誰だ?」
リヴァイは不機嫌そうに答えた。
「俺は調査兵団第1分隊長、モーゼス・ブラウンだ。
1年ほど留守にしていたがな。
サラは怪我でもしたのか?」
“モーゼス分隊長”
以前食堂でサラとハンジが話していた事をリヴァイは思い出す。
“モーゼス分隊長に会いに行ってくるよ。”
そうサラは言っていた。
「ただの風邪だ。」
「そうか。なら良かった。」
無愛想に答えるリヴァイへ、モーゼスは穏やかな笑みを向けた。
「じゃあな、新兵。」
そう言いながら自分の部屋へと戻るモーゼスの背中を、リヴァイはただ見つめていた。
サラとは一体どんな関係なんだ。
リヴァイの心は再びざわめきを覚えた。