【進撃の巨人】 never ending dream R18
第16章 強く結ぶ~嫉妬~●
「サラさんは、俺には優しいんだ。」
“サラ”という言葉に、リヴァイは無意識に反応してしまう。
ベッドに横たわり、本を読んでいたリヴァイは、同室の新兵達の会話に耳をそばだてた。
就寝前の男子棟は騒がしい。
特にリヴァイがいる新兵の大部屋では、若い兵士が多いせいもあってか、夜な夜な他愛もない話で盛り上がっては、上官達に雷を落とされていた。
外部との接触がほとんど無い調査兵団の男子兵士がする話題といえば、酒か女の話だ。
ベッドに腰を下ろし、酒を片手に「女が欲しい。」だの「あの兵士の胸がでかい。」だのと、下らない話題を繰り広げていた。
もともと同室の新兵達と深い関わりを持たないリヴァイが会話へ入る事はなかったが、時おりサラの名前があがると、聞き耳を立てずにはいられなかった。
「立体機動の訓練中もよく声を掛けてくれるし、この前なんて手を握られたんだぜ。」
そう得意げに話しているのはローターだった。
リヴァイとはほぼ同時期に入団した新兵の1人であり、次回の壁外調査における陣形では、サラと同じ班へ所属する事になっていた。
整った顔立ちに栗色の髪、ミケと並ぶほどの長身。
いかにも女にモテそうなローターは、こうして時おり自慢を含んだ女がらみの話をしたがった。
「手を握られたって、剣の持ち方を直されただけだろ?」
ローターの話を聞いていた新兵が、笑いながらからかう。
「いや、サラさんは俺に気があるんだよ。」
冗談まじりにローターは答えた。
「いくらなんでも、サラさんに限ってそれは無いだろ。
“元分隊長”だぜ?
それにサラさんは確かに綺麗だけど、何か堅そうだろ?」
「分かってないなぁ。
ああいう堅そうな女の方が簡単に落ちるんだよ。」
鼻先で笑いながらそう答えるローターに、リヴァイは怒りを覚えた。