【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
「そろそろ部屋へ戻るよ。」
ミケはテーブルに掴まりながら、ゆっくりと立ち上がる。
しかし、酒が回る身体は重く、言うことを聞かない。
一瞬ふらついたミケを、ナナバは横から支えた。
「部屋まで送るよ。」
ナナバはそう言いながら、おぼつかない足どりのミケに寄り添い、歩き出す。
テーブルから離れ、壁際を歩いていたその時だった。
バランスを崩したミケは、ナナバを巻き込み転倒した。
後ろに倒れ、床に尻を打ち付けたナナバへ、ミケは抱き付くようにして倒れ込む。
ピクリとも動かないミケの身体を起こそうともがくナナバであったが、2m近い巨体が動くわけもない。
「ちょっと…勘弁してよ。」
ナナバは重たいミケの身体とともに、壁へともたれた。
「寝ないでよね。少し休んだら歩けるでしょ?」
「あぁ…。すまない。」
ミケの呼吸が、ナナバの首筋へとかかる。
「もう、酒臭いなぁ…。」
「あぁ…。」
「本当に、しょうがないんだから。」と、ナナバはミケの頭を撫でた。
柔らかいナナバの身体、温かく優しい手つきに、ミケは妙な心地良さを感じる。
心の中にくすぶるのはサラへの想いであるはずなのに、このままこうしてナナバに寄り添っていたいと思ってしまった。
自分の中に沸き起こる矛盾した感情に、我ながら情けなさを感じる。
ナナバの身体に触れただけで心が浮ついてしまうような自分に、サラが恋愛感情を持たないのは当然の事のように思えた。
「ねぇ、ミケ。
あなたって、初対面の人の匂いを嗅ぐ癖があるじゃない。
でも、サラの匂いだけは顔を合わせるたびに嗅いでるでしょ?
サラって、そんなに良い匂いなの?」
微睡みはじめたミケの身体を、ナナバはそっと抱き寄せながら問いかけた。