【進撃の巨人】 never ending dream R18
第2章 出会い~団長~
「ご存知の通り、前回の壁外調査での損害は多大なものでした。
父の考案した陣形をもってしても、被害の拡大を防ぐ事は困難でした…。」
「長距離索敵陣形…というものだったか?」
「はい。」
「私は元々、それには反対だった。」
「はい、知っています。
しかし、長距離索敵陣形の考案により、兵士の生存率が飛躍的に向上した事は事実です。
ただ…その陣形にも盲点はあったようです。」
サラは、深くため息をつく。
「いかに巨人との遭遇を避けるかに重きが置かれている索敵陣形においても、相手が奇行種ともなれば戦闘は避けられません。
奇行種と遭遇した場合、最初に応戦する事になるのは初列索敵班でしょう。
巨人はいつ、どの方角から現れるか予測が出来ません。
なので初列班の兵力は平等でなくてはなりません。
また、陣形が崩された場合の荷馬車の護衛の点から言っても、初列班にのみ戦闘能力の高い熟練兵を配置する訳にはいかないのが現状です。
前回の壁外調査において、新たな事実が分かりました。
今まで単独でしか行動しないとされていた、奇行種が群れを成して現れたのです。
1体であれば、1つの班での討伐も可能だったはずです。
しかし、突如現れた数体の奇行種は、初列の班を食い尽くし、多くの犠牲者を出しました。
また、仲間が食われる姿を目の当たりにした兵士は、恐怖のあまり戦闘を放棄し、犠牲となりました。
一度巨人に屈した者は、二度と巨人には立ち向かえないでしょう。
そして、その恐怖心は人から人へと連鎖していきました…。
その時、思ったのです。
もし、陣形の中を状況に応じて自由に動く事が出来る兵士がいたら。
仲間が食われる姿を目の当たりにしても、迅速に対応が出来る兵士がいたら。
一個旅団並みの戦力を持った、最強の兵士がいたら。」
「最強の兵士…か。
そんなものが存在するとは到底思えんがな。」
キースは鼻で笑った。
「いえ、見付けたんです。
兵団の“変革の一翼”になるであろう逸材を…。」
サラは不適な笑みを浮かべた。
「次回の壁外調査には、彼等を投入するつもりです。
私は彼等の“補佐”を務めます。
なので…シャーディス教官。
あなたには、“団長“として指揮を執って頂きたいのです。」