【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
ミケはグラスに注がれたウイスキーを見つめる。
琥珀色に輝く美酒は、まるでサラへの想いを表しているかのようだった。
普段はあまり酒を飲まないのかもしれないと、リヴァイはミケの心情を察した。
「お前は、サラに…その…なんというか…
気持ちを打ち明けた事はねぇのか?」
リヴァイはそう尋ねる。
恋愛経験などないに等しいリヴァイにとって、この手の話は妙なくすぐったさがあった。
「3年前に、一度だけ。
…一笑に付されたよ。」
ミケはフンと鼻で笑う。
「どうしてだろうな…。
大切な時ほど、言葉が出なくなる。
“愛してる”なんて、口が裂けても俺には言えなかった。」
じゃあ一体何と言ったんだよと、口から出かけた言葉を、リヴァイは心の中にしまう。
こうしてミケが胸の内を明かしてくれた事を、リヴァイは嬉しく感じていた。
「サラが俺の事をどう思っているかは分からねぇが、俺にとってサラは特別な女だ。
誰が何と言おうと、もう手離す気はねぇよ。」
「…安心したよ。」
ミケはまたフンと、鼻で笑った。
こうしてミケと2人で酒を飲みながら、胸の内を明かせる日が来るとは思っていなかった。
ミケと出会ったのはいつだったかと、リヴァイは考える。
たしかあれは、地下街。
サラと出会ったあの日…木戸を突き破り、襲いかかってきた大柄の男。
今思えばあれはミケだったなと、リヴァイは酒に酔った頭の片隅にある記憶をたどった。
「なぁ…。
あの時、投げ飛ばしちまって悪かったな。」
ミケのマントを掴み、地面へと叩きつけた事をリヴァイは思い出した。
「…何の事だ?」
「いや、覚えてねぇならいいんだ。」
フっとリヴァイは笑った。