【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
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トクトクと、ウイスキーを注ぐ音が妙に大きく聞こえた。
リヴァイはグラスを手に取ると、酒を喉の奥へと流し込む。
本来ならばチェイサーなどを注文し、ゆっくりと時間をかけて楽しみたいところではあったが、ミケと2人きりで一体何を話せというのか…無言のまま酒だけがすすんでいく。
“今週末はみんなで飲みに行かないか!?”
そう言い出したのはハンジのはずだった。
しかし、いざ当日になってみるとハンジは資料室にこもったきり、出てこようとはしない。
苛立つリヴァイに「2人で行かないか。」と、声をかけてきたのはミケだった。
リヴァイはグラスの酒を口にふくみながら、横目でミケの様子をうかがう。
ミケもまた特に話す事はないといった様子で、ブランデーをストレートで飲み続けていた。
週末のバーカウンターに男2人で座っているこの状況に、リヴァイは笑いが込み上げる。
きっとサラが見たら腹を抱えて笑うだろう。
ふと、サラの笑顔が頭をよぎった。
「お前は…サラに惚れているのか?」
そう切り出したのはミケであった。
まるで自分の心の中を覗かれていたかのような言葉に、リヴァイは驚き、ミケの顔へと視線を向ける。
グラスのウイスキーを飲み干すミケの顔は、ほんのりと赤みを帯びていた。
「だったら何だというんだ?」
リヴァイもまた、グラスの酒を飲み干し、そう答えた。
「もっと…“口説き方”というものがあるだろう?」
ミケは低く落ち着いた声で、リヴァイにそう問いかける。
「聞こえてたのか?」
「あぁ。聞くつもりはなかったんだが…。」
数日前、サラの部屋を訪れた日の事だと、リヴァイはすぐに分かった。
確かにあの日、鏡台の前でサラを抱いている時、隣の部屋にいるであろうミケの気配を感じていた。