【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
「あなたが退院された事は、私からキース団長へ話しておきます。」
そう告げると、サラはモーゼスに深々と頭を下げ、居間を後にする。
外まで送ると言うモーゼスに「少し休んでください。」と、サラは優しく微笑んだ。
店先では、モーゼスの母親が客達と楽しそうに話をしていた。
その後ろ姿だけでも、彼女の花のような笑顔が容易に想像出来る。
こんな穏やかな日常が、いつか“当たり前”になるようにと…サラは切に願った。
「あら、サラちゃん。
もう帰ってしまうの?」
花のような笑顔が寂しさ溢れる表情へと変わる。
「はい。お邪魔いたしました。」
もう一度笑顔を見せて欲しいという気持ちを込めて、サラはにこやかな表情で答えた。
「そうだ。
サラちゃん、ちょっと待っててね。」
そう言いながら、モーゼスの母親は店の奥へと入っていく。
ガサガサと紙袋の音が聞こえた。
「サラちゃん、これ持っていって。」
モーゼスの母親は満面の笑みで、茶色い紙袋をサラへと手渡す。
そこにはたくさんの桃が入っていた。