【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
「俺がここを出たのは14の時だ。
あの頃、お袋とは顔を合わせれば喧嘩ばかりだった。
今思えばただの反抗期だったのかもしれない。
門前町で見かけた調査兵団に憧れて、訓練兵団に入った。
調査兵団に入りさえすれば、本当の自由が手に入ると思っていたんだ。
実際は違った。
自由どころか、たくさんの仲間を失った。
そして、女手ひとつで俺を育ててくれたお袋に辛い思いをさせてしまっていた…。
今更気付くなんておかしいだろ?」
モーゼスはテーブルに置かれたガーベラの花を見つめる。
美しく咲き誇るその姿に、母親の笑顔が重なったのであろう。
モーゼスの瞳に涙がにじんだ。
「生きているうちに気付いたんですから…遅くはありませんよ。」
そう言いながら、サラは穏やかな微笑みをモーゼスへと向けた。
モーゼスはハッとした表現を浮かべると「悪い…。」と一言だけつぶやく。
きっと、両親と死別した自分の前で、親不孝を嘆いてしまった事に対してだろうと、サラは思った。
そんな心配りが出来るモーゼスの優しさは、やはり母親そっくりだ。
「モーゼス分隊長…。
あなたは調査兵団に復帰されるおつもりですか?」
サラの突拍子もない一言に、モーゼスは瞳を大きく見開いたかと思うと、声を上げて笑いだした。
「何を言い出すんだ、サラ?
当たり前じゃないか。
それとも、お前は俺に戻って来てほしくないのか?」
モーゼスは透き通るような瞳でサラを覗き込む。
「いえ、そういうわけでは…。
ただ、これからの“命の使い方”を…あなたにはしっかり選んで頂きたいんです。
後悔しない“命の使い方”を。」