【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
「…そうなると、次回の壁外調査においては、エルヴィン団長の遺志を継ぐお前の意見は全く反映されず、全てはキース団長に委ねられているという事だな。
いくら次回の壁外調査の条件が 、壁外の探索活動ではなく、より多くの巨人を討伐する事だとしても…はたして、それが吉と出るか…。」
そう言いながら、モーゼスが思い詰めたような表情を見せたその時だった。
店に出ていたモーゼスの母親が、慌ただしく居間へとやって来た。
「ほら。モーゼス。
さっきサラちゃんが持ってきてくれたお花よ。」
花瓶に入れられたガーベラの花を、嬉しそうにモーゼスへと見せる。
その姿に、サラはまた胸が締め付けられるような思いがした。
モーゼスの母親は花瓶に入ったガーベラの花を、窓際のテーブルへと置く。
そして、2人の顔を交互に見ると「邪魔しちゃったわね。」と、屈託のない笑顔を浮かべた。
そんなモーゼスの母親が見せた可愛らしい一面に、サラは思わず笑いが込み上げる。
モーゼスは「大事な話をしているんだから、お袋は店に行っててくれよ。」と、困ったように頭をかいて笑った。
「サラちゃん、ゆっくりしていってね。」
そう言いながら、モーゼスの母親は花のような笑顔を残し、店へと戻って行く。
あらためて“母親”という存在は、やはり眩しいものだとサラは思った。
「モーゼス分隊長のお母様、すごくお元気になられましたね。」
先ほどまでの重い話が嘘であったかのように、また笑いが込み上げた。
「あぁ。俺もあんなに元気に笑うお袋を見たのは久しぶりだ。
俺が家にいるのが嬉しいそうだ。
こんな事で喜んでくれるんだったら、もっと前から里帰りくらいしておけばよかったよ。」
照れ笑いを浮かべながら、モーゼスはそう言った。