【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
「あら、サラちゃん!!」
サラに気付くなり、モーゼスの母親は笑顔で駆け寄って来た。
「ご無沙汰しております。」
「息子に会いに来てくれたのね!?
嬉しいわ!!」
そう言いながら、サラの手を強く握り締めた。
花のようなその笑顔に、サラの胸が締め付けられる。
“母親”という存在は、どうしてこうも眩しく見えるのだろう。
ガーベラの花束を渡すと、モーゼスの母親はこぼれんばかりの笑顔を見せ、サラをギュッと抱き締めた。
「息子は居間にいるの。上がってちょうだい。」と、店の奥にある居間へと入るよう促される。
モーゼスと会うのは前々回の壁外調査以来、1年振りの事だ。
生死をさまよう深刻な怪我がどの程度まで回復したのか、また、後遺症などは残っていないのか…そればかりが心配であった。
「モーゼス。サラちゃんがいらしたわよ。」
弾むような声に、窓際の椅子に腰を下ろしていたモーゼスが振り返る。
「よぉ、サラ。」
そこには以前と何ら変わりのない、モーゼスの姿があった。
「ご無沙汰しております。お身体の具合はいかがですか?」
「あぁ。割とよく動くよ。」
モーゼスは母親そっくりの笑顔でそう答えた。
「お客様を待たせているから。」と、モーゼスの母親は店先へと戻っていく。
柔らかな春の日差しが差し込む居間に2人きりとなったモーゼスは、早く本題に入りたいと言わんばかりに、向かい合わせに置かれた椅子へと座るよう、サラに促した。
サラは椅子に腰を下ろすと、こう口火を切る。
「本当にお身体の具合はよろしいんですか?」
「あぁ。医者にも驚かれたよ。
並みの人間であらば死んでいたそうだ。
毎日鍛えていた甲斐があった。」
そう言いながら笑うモーゼスの顔は、やはり母親そっくりだった。