【進撃の巨人】 never ending dream R18
第15章 強く結ぶ~故郷~
まだ2月だというのに、春の訪れを感じさせるような暖かい風が吹いている。
馬車の車窓からはこぼれるような春の日差しが入り込み、サラの横顔を優しく照らした。
サラはシガンシナ区へと向かっていた。
モーゼス・ブラウンから手紙が届いたのは3日前の事だ。
調査兵団第1分隊長、モーゼス・ブラウン。
サラが訓練兵団へ入団する以前から調査兵団に所属し、キースを除く現存する兵士の中では1番の古参者だ。
しかし、エルヴィン団長を含む多くの熟練兵士が命を落とした前々回の壁外調査で、モーゼスは意識不明の重体となり、シガンシナ区に帰還するやいなや病院へと運ばれた。
何とか一命は取り留めたものの、長引く入院生活に、誰もが調査兵団復帰は難しいだろうと考えていた。
サラでさえも、モーゼスはこのまま調査兵団を退団するものとばかり思っていた。
そんな矢先、モーゼスからサラへと1通の手紙が届いた。
その手紙には、長い入院生活を終え、自宅療養に入った事が書かれていた。
安堵感から胸をなで下ろしたサラであったが、気になったのは最後に書かれていた言葉だった。
“現在の調査兵団の状況を詳しく知りたい。”
それならば直接会って話すべきだろうと、サラはモーゼスの実家があるシガンシナ区へと馬車を走らせた。
シガンシナ区。
そこはサラが5歳まで、母と弟の3人で暮らしていた街でもあった。