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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第14章 強く結ぶ~愛着~●


「幼い頃、私が風邪をひく度に、母は甘い桃を食べさせてくれたんだ。

その桃が食べたくて、私は何度もわざと風邪をひいて母を困らせた。」



どうしてこんな話になったのだろうと、リヴァイは微睡む意識の中で会話をさかのぼる。



情事を終え、ベッドに潜り込むサラの髪から石鹸の香りがした。

その髪を撫でながら「懐かしい匂いだ。」と、つぶやくリヴァイに、「私にとっての懐かしい匂いは、母が切ってくれた桃の香りだ。」と、サラは笑いながら話しはじめた。



「…俺にも覚えがある。
物心ついた時から母親と2人の生活だった。

幼い俺は母親が仕事へ出掛けるのを嫌がり、気を引くために何度もわざと風邪をひいて困らせた。」



リヴァイの母親は地下街の娼婦だった。

客の子であるリヴァイを身ごもり、周囲からの反対を押し切るようにして産み、必死で育てた。



母親が娼婦である事は、幼いながらにもリヴァイは分かっていた。

夜がくる度、母親が他の男のもとへと行ってしまう…そんな淋しさからか、何とか母親の気を引こうと様々な手を使った。



しかし、母親はそんなリヴァイの心を見透かすかのように、両手でリヴァイの頬を包むと、優しくキスをした。



朝方、仕事を終えてリヴァイの元へと帰って来る母親の髪からは、いつも石鹸の匂いがした。



男の匂いをまとったまま、愛する我が子を抱きたくはない。



そんな、彼女なりのプライドだったのだろうと、母親の気持ちを理解しはじめたのは、リヴァイが女を知ってからだった。



そして、自分のこの異常なまでの潔癖な性格も、そこからきているのではないかと、リヴァイは思っていた。





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