【進撃の巨人】 never ending dream R18
第12章 強く結ぶ~剣舞~
サラは腰に携えた剣を見ながら、ふふっと笑う。
長い黒髪に、その剣は不思議と似合っていた。
サラは大切そうに剣を一撫ですると、先ほどの呪文のような言葉の意味を語り出した。
「サンセンソウモク…ウタタコウリョウ。
山も川も、草も木も…全てのものが荒れ果てて見る影も無いという意味だ。
人間同士の争いは醜い。
“戦”が行われた場所では、およそ40kmにも渡って、風が血の臭いで生臭かったそうだ。
馬でさえも進もうとはせず、誰も口を聞かない。
夕陽に照らされながら、馬とともに呆然とただ立ち尽くしていた…そんな詩だ。
私が母に習ったのは“剣術”ではなく“剣舞”なんだ。
私の先祖が生まれ育った土地の伝統的な文化であり、先ほどの詩のように、人類がまだ壁外で暮らしていた頃の文化や風景、歴史や争いを詩にし、独特の節を加えて詠む。
それに合わせて、“刀”と呼ばれる剣を持ち、舞うんだ。
私の母は先ほどの舞を、
“戦に敗れた武士達への弔いの舞”だと教えてくれた。」
そう言うとサラは、腰に携えていた剣をリヴァイへと手渡す。
ずっしりとした重さが、リヴァイの腕に伝わった。
「それは普通の剣ではない。
ブレードの刃とは違い、折れず、曲がらず、良く斬れる。
そしてその高い性質に見合うだけの美しさがある。
私の母はそれを“ニホントウ”と呼んでいた。
100年以上も前…私の先祖によって壁外から持ち込まれた物だよ。」