【進撃の巨人】 never ending dream R18
第12章 強く結ぶ~剣舞~
格技場の前へ着くと、中からサラの歌声が聞こえた。
聞き慣れない言葉、独特の節。
まるで呪文のようなその歌声に、リヴァイはしばし耳を傾ける。
時おりドンッと床を叩くような音がした。
一体何をしているのだろう…そんな疑問を抱きながら、リヴァイはゆっくりと格技場の扉を開けた。
その瞬間、目の前に飛び込んできた不可思議な光景に、リヴァイは思わず息を飲む。
大きめのシャツに素足という、全くもって目のやり場に困る格好のサラ。
しかし、呪文のような歌を口ずさみ、見た事もない剣を振りながら舞うその姿。
静と動が入り混じった身のこなし、時に激しく斬り込み、時に重みのある所作が加わる。
高く飛んだかと思えば、音も無く着地し、足で床をドンッと叩く。
振り下ろした剣には全くブレが無く、サラ特有の両手を使った剣の持ち方は、ここからきていたのだと納得出来た。
今まで、こんなにも美しいものを見た事があっただろうか…。
リヴァイは一瞬にして、サラの舞い姿に心を奪われた。
サラはリヴァイに気付くと、手に持った剣を鞘へと納める。
その動きひとつをとっても、無駄の無い美しさがあった。
「リヴァイ…君は“覗き”が趣味なのか?」
サラが優しく微笑む。
「見事だ…。
今のは一体何だ?」
普段からあまり他人を褒めるという事が無かったリヴァイであったが、この時ばかりは自然と言葉がこぼれた。
今まで触れた事の無い美しさに、リヴァイの心は震えていた。