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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第10章 狙い狙われ


「あれで彼は医者だ。しかも本草に長けた磯のそれなりの地位にある医師、払えぬ道理がない」
「・・・貯め込んでるな。・・・フカは養子を取る気はないだろうか・・・」
「・・・おいおいじィさん、どんだけ思い詰めてンだ。養子より患者にして貰った方がいんじゃねぇのか?」
「牡蠣殻とやらは彼の縁故の者だろう?牡蠣殻の分まで深水に出させる事は出来ないのか?」
「気が進まない」
ペインの問いにイタチが即答した。
「気が進まない?何故だ」
「深水にはそうする義務はない。牡蠣殻も己の護衛の依頼など毛ほども考えていない」
「鬼鮫。あの女はお前の個人的な知り合いだ。お前、出す気はあるか」
「いいでしょう。但し私があれの側にいます。深水の護衛は他がやればいい。正式な依頼だ。だれがやっても不都合ない筈」
鬼鮫は素っ気なく言って椅子に座った。
苛々が募っている。
近くにいるのに邪魔が多過ぎた。あの凡庸な宿で過ごした時間が有り得ないものだったように思える。私はこうも煩雑な身だったか?牡蠣殻はこうも面倒な立場だったか?
「しかし深水の護衛は・・・」
「俺が引き受けよう」
イタチが答える。
「俺は以前に今度依頼をするなら心得ろと深水を煽った。その上で俺を名指すのなら、それを放棄する謂れはない」
ペインはイタチと鬼鮫を見比べた。
「暁は二人でチームを組むのが基本だが・・・」
「鬼鮫が牡蠣殻につくというのなら是非もない。音には覚えがなくもない。俺一人で事足りよう」
「・・・鬼鮫?」
「イタチさんがそう言うなら、間違いはないでしょうよ」
「じゃあよ、オイラがイタチと行くわ」
デイダラが口角を上げて、外套の深い襟に顎を埋めた。小狡い表情を浮かべてペインを見遣る。
「いいだろ?どうせみんな暇なんだ、目先の変わった事したってここでトグロ巻いてるよりゃ悪かねえよな?うん?」
端正な顔をしかめているイタチににやりと笑ってみせて畳み掛ける。
「ちっとばかり不発気味だしよ。パーッと行こうぜ、なあ、イタチ。いいだろ、リーダー」
「・・・サソリは構わないのか?」
ペインの問いにサソリは思いきり顔をしかめた。
「聞いてんじゃねえよ」
「問題ねえよな、旦那?」
「あってたまるか。大歓迎ヤッホー万歳だわ、ボケが」
「む・・・」
ペインは眉根を寄せて考え込んだ。
「慣れない相手と組んで不測の事態に対応出来るか?」
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