第10章 狙い狙われ
「俺は一度では死なん」
「じゃ死ぬまで死んでなさい。この話は終わりです」
「・・・牡蠣殻は俺と結婚する気はないだろうか・・・」
「ば・・っ、何処ぞの腐れブローカーですか、アンタは。いい加減にしないとミンチにしますよ?」
「うるさい。お前こそ練り物にして出荷するぞ。地味に正月でも彩ってろ」
「練り物とヒジキは相性がいい。小南、煮付けは好きか」
ペインが腕を組んで小南を見返った。小南はフと口角を上げて、
「食べるのも作るのも嫌いではないわ。作るのが当たり前だと思われるのは大っ嫌いだけれどね・・・・」
「・・・俺が作ろう」
「そう?ありがとう」
「さて、正月のメニューが一品決まったところで、この護衛、受けるべきかどうか」
「決まったんだ?オイラ煮付けは好きじゃねえな、うん・・・」
「・・・正直俺も年末年始は蕎麦と汁粉で間に合っている」
「煮付けは旨いぞ。安価で体にもいい」
「・・・その安価な材料の一部にあなたも私も含まれそうになってるんですがわかってますか?ちょっと本当に病院に行った方がいいですよ?」
「病院に払う金などない」
「・・・お金はあるでしょう、払いたくないだけで」
「フカに診て貰やいいだろ。あぁ?ありゃ医者じゃなかったかよ?」
「・・・・いや、それはちょっとどうかと思わぬでもない・・・」
「ナーイスアイディアじゃねえかよ?タダだぜ、角都、ターダァ!」
「タダより高いものはない」
「またまた、冗談キツイぜェ。タダより高いって何円の事よ?それっくらい俺でもわかっちゃうよォ?」
「・・・飛段、俺は今初めてお前が怖い。さては本気で言ってるな?」
「んん?だってタダって0じゃん。0円より高いってねえよな、な、デイダラ」
「ちょ、止めろ、オイラに振んなよ。何か話に巻き込まれたくねぇ、オイラバカじゃねえからな?うん?」