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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第7章 磯から暁へ


「あれは・・?」
カブトの奪って行った掛守に、鬼鮫は眉をひそめた。一年前の取り引きが深水との間で生きているのなら間違いなく牡蠣殻に関わるものだろう。
「おい、鬼鮫」
「・・・何です?うるさいですねえ。暇ならカブトの後でも追っかけたらどうです?あんな格好つけて消えてましたけど、どうせまだそこらへんでうろちょろしてますよ、きっと」
「足、足」
「はあ?」
言われて視線を落とすと、場合によってはこれから教えを乞う筈の相手を踏みつけている自分の足が目に入った。
「おっと、これは失礼。・・・デイダラ、気を付けなさい。次は影縛りが来ますよ」
そこらの木陰からギクリという音が聞こえて来た気がした。
「倍化に転心と来たらば、影縛りでしょう。成る程あの三人、イノシカチョウの連中でしたか」
鬼鮫は深水を抱え上げると、スルスル足元に延びかかってきた影を跳んで避け、
「行きましょう、デイダラ。あの人に似た相手をいたぶるのも面白そうですが、今はガキと遊ぶような気分じゃない」
「オイラは構わねえけど。しかしアンタ、ホントにサディストだな、うん?」
言いながらデイダラは懐から先程の起爆粘土二体を取り出して、事も無げに放って印を結ぶ。
「まあ、磯辺とかってのも早く見てみてえしな、うん」
「牡蠣殻です」
「どっちだっていいだろ、案外細けえんだよな、アンタ。うん」
爆発音が二発、それに混じって女の悲鳴が聞こえた。
「ま、今日のところはソレで遊んでな、うん」
小さな鳩が飛び交っている。
デイダラは鬼鮫の後を追って歩き出しながら、一度振り返って薄く笑った。
「次があったらもっとちゃんと遊んでやっからよ、うん」


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