第6章 内股膏薬
「おう、オイラはデイダラってんだ。芸術家だ。うん。で、何?何でおっさんはそんなメンドくせぇ話し方すんだ?・・・鬼鮫が会いに来たっての、アンタじゃねえよな、まさかな、うん。・・・オイラやだぞ、そんなの」
「いやいや、いかにも私が・・・」
言いかけた深水を鬼鮫は容赦なく落とした。
「話をややこしくし過ぎですよ、先生」
「おいおい、何なんだよ」
「先ず会うべきはこの人じゃないんですよ。この人にも用はありますがね、それは後程」
牡蠣殻はどこにいるのか。
「肝心の女な。どこにいんの?」
「ああ、失敗しました。それを聞いてから落とすべきでしたね。失礼」
やいやいと立ち話を続けている木の葉から目を離さず、鬼鮫は深水に喝を入れた。
「ん?おお?」
「深水さん。牡蠣殻さんは何処です?」
「おや?同道して来たのでは?」
嫌な予感がした。
「あれは暁へ行った筈です。行き違えましたか?」
「・・・・成る程。わかりました。深水さん、私に何のご用でしたか?」
「む、よくぞ聞いて下さった。話せば長くな・・・」
「失礼」
鬼鮫は再び深水を落としてデイダラを振り返る。
「行き違いになったようです。戻りますよ」
「何だ、詰まんねぇな。ひと暴れしてっていいか?さっき造ったヤツを試してえんだ、うん」
「木の葉の護衛がいます。ややこしくなるから止めなさい。今ここで木の葉と揉めるのは得策ではない」
「チ。手ぶらで帰れってのか、うん?」
「この人を連れて行きますよ。話せば長くなる話を聞いてあげなければいけないし、私からも話がありますからね。教え子を迎えついでに暁まで来て貰いましょう」
深水を目線で示すと、デイダラは思い切り顔をしかめた。
「こんな手土産オイラやだぞ。やっぱ手ぶらで構わねえかな・・・」
「そうだね。悪いけど手ぶらで帰って貰おうかな」
面白がっているような声が割って来た。
木陰から人影が現れる。
「おやおや。意外な人に会うものですねえ」
鬼鮫は深水と人影を隔てるように足を運んで、口角を上げた。
「相変わらず木で鼻をくくったような話し方をするんだねえ、干柿さん」
「ふ。あなたの人を小馬鹿にした話し方も相変わらずのようだ。腰巾着の割りに態度が大きい。大蛇丸は部下に甘いんですかねえ、カブト」