第5章 行き違い
「あーあーあーあー、つっまんねえなああぁ、おいぃー!」
「うるせえ」
「うるさいぞ」
「何だよ何だよ、デイダラばっかよおぉ、いいなあぁ、くっそおぉ~!」
「黙れ」
「これ以上喚いたら殺すぞ」
「だからよぉ、それを言うか角都ぅ」
「殺すぞ、おら」
「何だよ、サソリまでよ!」
「いいぞ、殺して。俺の面倒が省ける」
「語尾がウゼェ」
「頭が悪いのが一発でわかる」
「声がでけぇのがムカつく」
「同じ事ばかり言うのは止めろ」
「テメエの神様に頭良くして貰えや。迷惑だ」
「神様が馬鹿だから信者の馬鹿も治らない」
「テメエらジャシン様を馬鹿にするなあ!ぶっ殺すぞ、ごらぁ!」
「オメエが馬鹿だから神様も悪く言われんだ」
「親の顔が見たいのと同じだ。巧い事言ったな。馬鹿を治してジャシンの株を上げてやれ」
「俺が賢くなったらテメエらジャシン教に入っか?」
「誰が入るかよ、下らねぇ」
「そういう事を言うから馬鹿だと言われる。いい加減気付け」
「さっさと改宗してくたばっちまえよ」
「清々するな」
"・・・皆暇なのだな・・・"
愚にもつかない飛段いじりに、イタチはため息を吐いた。
サソリは傀儡の手入れ、角都は金勘定、飛段はデカイ独り言。
イタチはお八つの団子を食べている。
「大体よぉ、何で鬼鮫なんかに女が絡むんだ?あぁ?」
椅子の背に肘をかけてだらしなく座りながら、飛段が愚痴る。
「テメエなんかに言われたくねえだろうよ」
「お前にはジャシンがいるだろう。欲を張るな」
「ジャシン様と女を一緒にすんじゃねえ!」
「うるせえな。部屋で一回死んでこい」
「生き返らなければいいんだがな」
"・・・・・・・"
イタチは団子をじっと見詰めて、次は餡コにするか胡麻だれにするか沈思黙考した。彼も大概暇をもて余している。
「しかし横にこのイタチがいるのに、鬼鮫へ目が行く女というのもわからない」
団子に真剣に向き合っているとは思えない涼やかなイタチの顔を見て、角都が訝しむ。
「そういうのもいねえと魚が全滅しちまう」
傀儡から目も上げずに言うサソリに、飛段がゲラゲラ笑った。
「巧い事言うねぇ、お人形ちゃん」
「・・・あぁ?誰がお人形ちゃんだ。ぶっ殺すぞ」
「あ、怒っちゃった?ごめんねー、お人形ちゃん」
「おい角都。このゾンビパンダどっか連れてけ。メンドくせぇ」
「知るか。俺も面倒はごめんだ」