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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第5章 行き違い


「一番盛り上がったのは飛段だ。鬼鮫のヤツ、これが出来ゃがったんだぜ、ゲハハハってよ」
「一番暇なのが飛段だったと」
「そういうなよ。ここのとこ任務が減ってんのは皆一緒だろ、うん」
「暁は知られ過ぎて来ましたからね」
「嫌いじゃなかったけどな。南瓜泥棒捕まえたり、大国の大名の馬鹿跡取りをぶん殴ったりな、うん」
「うちのリーダーはつくづく仕事を選ぶのが下手なんですねえ・・・」
「うん?まあな。どうせやるならもっとデカイ事やんなきゃな、うん」
デイダラはニヤリと笑って鬼鮫を振り返った。
「で?その女はどんなヤツなんだ?うん?」
「そんな事聞いてどうするんです。面白くも何ともないですよ?」
「いいじゃねえかよ。聞かせてみろって、うん」
「・・・人の部屋に忍び込んでまで手紙を見ようとするだけあってしつこいですね・・・」
「聞くくらいいいだろ?いい女か?うん?」
「地味で間抜けで口が達者な病気持ちです」
「うん?」
「馬鹿で大酒呑みで偏食の喫煙者です」
「・・・・うん?」
「そういう女ですよ。満足しました?」
「・・・じゃ、見た目、見た目はどんなんだ?」
「眼鏡ですね」
「・・・めが・・・何かもっとねえのか?」
「眼鏡ですが何か?」
「あー・・・、得意な事とかねえのか?」
「人を怒らせるのが巧いですね」
「・・・ならさ、体はどうなんだ?うん?大事なとこだぞ」
「貧相で全身更地状態ですよ」
「・・・帰りたくなって来たな、うん」
「それはあなたらしくもない名案だ。実に賢い。私を下ろしたら直ぐにも帰って下さい」
下降し始めた鳩を目で追って、鬼鮫は心から頷いた。
"また随分と近くに・・・歩けば二時間というところか・・・"
木の繁る森の外れに、鳩は姿を消した。
「何だ、近かったな、まだ大して移動しちゃいないのにな、うん?」
拍子抜けした感じで呟いて、デイダラは鳩の消えた辺り近くに下りた。
「よし。行くか、鬼鮫!」
「もういいから帰りなさい」
俄然張り切り出したデイダラに鬼鮫は迷惑そうな様子を隠しもしない。
「あなたが期待しているような面白い事なぞ一つもありませんよ?」
デイダラはまさか、という風に首を振った。
「土産話を持って帰んだよ、皆待ってるからな!うん!」
「・・・土産話ね・・・そうですか。そりゃいいですね・・・」
鬼鮫は諦め顔で大股を踏み出した。


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