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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第5章 行き違い


「・・・あいつ、鳩のくせに速いな。ちょっとカッコいいぞ、うん」
「・・・あぁ、そうでしょうね。彼は一族の誉れですから」
「すげえな!」
「・・・あぁ、そうですね。彼は奇跡の土鳩ですから」
「創作意欲が湧いて来た!下りるぞ鬼鮫!」
「どこもかしこも馬鹿ばっかりだ・・・」
「うん?何か言ったか!」
「創作対象を追いきる事も出来ないんじゃねえ・・・出来もたかが知れますねえ・・・まあいいんじゃないですか?どうぞ下りて下さい」
デイダラは明らさまにカチンとして鬼鮫をジロリと睨んだ。
「誰が下りるなんて言った?うん?」
「誰って私が言う訳ないじゃないですか」
「じゃあ誰だ?うん?」
「知りませんよ、全く。面倒臭い」
デイダラは赤面して勢いよく鳩を指差し、
「絶対捕まえてやるからな!いいな、鳩!」
「・・・あなたも大概付き合いづらい人ですねえ・・・」
「まあな!芸術家は付き合いづらいと決まってるからな!うん!」
「あなたホントにうるさいですね・・・二人になる事がなかったから、ここまでとは知りませんでしたよ」
呆れる鬼鮫にデイダラは口をひん曲げたが、にやりと笑って前方を睨み付けた。
「静かな爆発なんて有り得ないだろ!うん!」
こんなに賑やかな男とどうやって任務をこなしているのかと、暁唯一の同世代であるサソリに同情の念を禁じ得ない。
「ところで鬼鮫」
げっそりしている鬼鮫を横目で見て、デイダラは興味津々の顔をした。
「これから会う女とは何処で会ったんだ?うん?手紙のやり取りは結構前からやってんだろ?」
「私も聞きたいと思ってたんですがね」
鬼鮫はやっとまともに話が出来ると気を取り直した。
「どうやって手紙のやり取りに気付いたんですか?」
「ああ、角都だ。角都が鬼鮫ンとこに鳩が来てるってんでさ。見てりゃアンタ、何か書き物してる事が増えたしな、うん。ありゃ伝書鳩だって言い出したのはサソリの旦那な。脚に何かつけてンのが見えたってよ。まあ、旦那じゃなくてヒルコの望遠機能のお手柄だけどな。盛り上がったぞ!金か女か裏切りかっつってな!うん!」
「・・・何やってんですか、あなたたちは・・・」
「でも女でよかったな。一番角がたたねえからな、うん」
「あぁ・・・・、成る程」
満更馬鹿ではない。
鬼鮫は、風に勢いよく流れるデイダラの束ね髪を眺めて目をすがめた。


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