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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第4章 文通


イタチに限っては次にこう来る。
"大体、相手の了承もなしにする話ではないだろう・・・"
口には出さない。答えの予測はつく。
"相手の了承なんか必要ありませんよ。なんでそんなものが要るんです?"
「・・・・・災難だな」
「は?」
「いや・・・取り合えず連絡をとれるのがわかったのだから、あの深水という男がどういう人間なのか、それとなく聞き出していくといいな。医師とは名ばかりでは話にならない」
「尋ねて普通に答えますかね、あの牡蠣殻さんが。何でも捻って来るからややこしい・・・話が長くなるんですよ」
「・・・そこは人の事ばかり言えないだろう・・・」
"そのややこしい人を捕まえておきたいのだからよくわからない・・・"
人の心は思案の外だが、鬼鮫の本心がイタチにはわからない。鬼鮫自身もよくわかっていないように見える。牡蠣殻に至っては、何も考えていなさそうだ。
"どこへどう転がっていくのか、皆目見当がつかない・・・"
初冠雪を迎え山頂からぼつぼつ白く染まり始めた山並みを眺めながら、イタチがそんな風に思ってから六ヶ月。
とうとう鬼鮫は深水と直接連絡をとる機会を得た訳だ。
「説明もなしに乞う連絡って、あからさまに投げ遣りに言われましてもねえ・・・しかも殴り書きですよ。ガサツな女です」
「・・・男同士の文のやり取りを橋渡しさせられるというのはどういう心持ちのするものだろうな」
「・・・わざわざ誤解を招くような言い方するのは止めて下さいよ」



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