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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第27章 黄泉隠れ


「あん?何でデイダラが出て来んだよ?」
「何でもありません。巻き込まれるのが厭なら帰んなさい。私といれば否応なしに巻き込まれますよ」
「バッカ、人の話ィちゃんと聞いてんのか、オメエは」
「そんな事あなたに言われる自分にびっくりしましたよ、今」
「俺ァ揉めんのはヤだけど、暴れんのは好きだっつったろ?ちゃんと聞いとけよなァ、人ン話ァ」
「つまり?」
「砂に行くんだろ?ついてってやんよ」
「あなたと道行き?冗談でしょう?第一暴れる予定はありません。何を期待してるんですかあなたは。これ以上話をややこしくしないで下さい」
「ややこしくすんのがヤならほっときゃいいだろ?牡蠣殻ァ何か大笑いして楽しそうだったしよ。アイツあんなバカ笑いすんだなァ。角都ってあんなに人ォ笑わせるほど気ィきいた事ォ言うヤツだったっけ?」
「・・・二人ともどこかズレてますからね。私には計り知れませんよ」
鬼鮫は苦々しげに言うと息を吐いた。確かに角都に担ぎ上げられた牡蠣殻は聞いた事もないバカ笑いをしていた。何を笑っていたのだ、あの女は?
牡蠣殻自身の意思ではないが、また逃げられた。向かっ腹が立つ。鬼鮫は眉間にシワを寄せた。
何故こう邪魔が入るのか。そういう相性なのだろうか。考えていると身内の怒りが膨れ上がる。
「・・・飛段」
「あ?」
「ちょっと殺していいですかね?」
「あン?何言っちゃってんの?俺ァ死なねんだって何回言やァわかんだ?角都に玩具ァ持ってかれてカッカしてんだろォけどよ、落ち着けって。用がすみゃ戻って来んだろ。角都だって金のカタがつきゃ正気になっからよ?」
「金に片を付けた角都やら正気の角都やら、そんな角都、この世にいないんじゃないですかね・・・」
「・・・・そんな言うなよ。そんな気してくんだろ・・・」
鬼鮫に言われて飛段が顔をしかめた。
間もなく昼。
鬼鮫は空の陽を確かめてフと波平を思った。
"散開が近い・・・今頃あの寝惚けた磯影はどうなっている事やら・・・"
それにしても性なのか巡り合わせなのか、はたまた時期が悪いのか、兎に角ちょろちょろと落ち着かない牡蠣殻を見ていると波平の苦労が伺えるような気がして居たたまれなくなる。体の質を思い合わせれば、これでよく畳の上で死にたいなどと抜かしたものだとまた腹も立って来る。


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