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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第26章 シカマル受難


腕を引く相手が変わっている。
「か、角都さん?何だ何だ?干柿さんは・・」
「かぁくずうぅぅ!!」
珍しい鬼鮫の怒号が聞こえる。
「あり?何だ何だ?どうしたワケよ、これは。おーい、角都ぅ?」
たたらを踏んだ飛段ともども、音に引っ掛かってしまったらしい。木の葉の通りの活気だけではない、物騒なざわめきが大きくなっている。
「俺は金が絡んだときは金以外の何者も信じない」
走りながら吐き捨てた角都に息を切らせた牡蠣殻が尋ねる。
「金が絡まなければ?」
「金の絡まない事には興味がない」
「ハハ、金ばっかりじゃないですか、これまたシンプルな」
「黙って走れ。吐血でもしたらどうする。勿体ない」
「いや、私そういう類いの病を患っている訳では・・・」
「ぬ、いかん」
角都はハッとして走る足も止めずに、ヒラッと牡蠣殻を荷物のように肩に担ぎ上げた。
「転んで怪我でもしたら殊だ。勿体ない」
「あはははは、何だ、この人」
「黙れ。誤って舌でも噛んだらどうする。勿体ない」
「ちょ、待て・・・ぶッふははは、面白い。ははははは!!」
「笑うな。頭の血管でも切れてみろ。大損害だ」
「はッははは・・ヤバい腹が痛い、お、可笑しい。何だ、コイツ・・・や、この人・・」
「言葉遣いより血を気にしろ。一滴足りとも無駄にするな。ム、笑いすぎも厳禁だ。涙が出る。水分は血液にイコールする。大事な血が減る」
「アハハハハ・・・ッ、だ、駄目だ、止まらない・・・ッはははは・・・ッ、あ・・・」
前方から両側をとられたシカマルと、その片腕を掴んだ波平を認めた牡蠣殻は、それでも笑うのが止められない。むしろシカマルの状態がツボに入ってますます笑いこける。
「な、何をして・・あはは、奈良くん、君それ、連行される宇宙じ・・・ぶはッ、はッはッはッは・・・ッ、な、波平様、何をして・・・・ハハハハハ・・ッ・・・や、止めろ、笑わすな・・・」
「・・・・?磯辺?干柿さんか?人相が変わっているぞ?」
波平の呑気な声に牡蠣殻は角都の肩の上で海老のように体を丸めた。
「ち、ちがぅ・・・は、腹が痛い・・・ッ」
「牡蠣殻さん!?アンタ何してン・・・ガ・・・ッ」
通りすがりに角都がシカマルの首に肘を決めた。
「コイツを笑わせるな。損をする」
「シカマル!?おい、アンタッ」
シカマルを抱き起こしたアスマが声をかけるのも勿論無視して角都は走る。
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