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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第26章 シカマル受難


鬼鮫が間に入った。
「今は間が悪い。聞いていませんか?磯は散開します」
角都は目を細め、飛段はヒューイと口を鳴らした。
「そらまた。どうしたってんだ?あのとぼけた頭が殺られたのか?えれぇ急な話だな、おい」
「わざわざ他里で散開とは、木の葉絡みの利権もあるのだろうが、騒がしくなるな。厄介な」
角都は目を細めて牡蠣殻を見た。
「お前はどうするんだ。木の葉に残るのか」
「私は・・・」
「兎に角ここを出ましょう。ぐずぐずしていたくない」
音の事もある。言い出しかけた鬼鮫は反射的に牡蠣殻を引いて体を左に捻った。
肩口を掠めて吹き矢が飛び去る。
「・・・成る程な。出物腫れ物所嫌わずだ。奸計を腹に収める必要がないというのはやり易そうで羨ましい限りだ」
目立たぬ程度に飛段と背中を合わせるような格好になって、角都は辺りに目を走らせた。
「音は働きモンだァな。また切り替えの早ぇこと早ぇこと。ちったぁ落ち込んで引きこもってろっての。やんなっちまうよ」
言葉とは裏腹に飛段は楽しげだ。懐手でペンダントトップを弄りながら、牡蠣殻に笑顔を向ける。
「そこらへんに団子草は生えてっか?また世話になるかもしんねえからよ、探しとけ」
「・・・・何処だ?」
目をすがめる角都に鬼鮫が返す。
「後方に二人。建物にもいますね。吹き矢は上から来た」
「テメエら側の出店横にもおかしげなのが一人。牡蠣殻、消えられねえのか?」
「・・・・お恥ずかしい話ですが、寝不足の上昨日から何度も失せているので今は体力が・・・正直自信がありません」
「寝もしないで何をしていたんだ、お前達は。鬼鮫、もう少し我慢出来なかったのか」
角都の言葉に鬼鮫は眉をひそめ、
「下世話な誤解をしないで欲しいですねえ」
次いで人の悪い顔で笑った。
「しかし成る程、弱っていると逃げられないとはいい事を聞きました。フ」
「笑っている場合か。はっきり貰い受けるまでは俺にも何割かは権利のあるものだ。牡蠣殻に傷をつけて血の無駄遣いをするなよ」
その一言を合図に、四人は三方向へ散った。
「木の葉の南東、鹿の森」
「ドジィ踏むなよ、牡蠣殻ァ?」
「日暮れまでは待つ」
「飛段さん、怪我しないで下・・・」
言いかけた牡蠣殻の髷に吹き矢が刺さる。
「あっぶ・・・ッ、あっぶなッ!何つうとこ狙って来んですか、非常識な・・あ、え?」

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