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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第26章 シカマル受難


シカマルは、アスマがふかす煙草の煙をもの思わしげに眺める波平をじっと見た。
話せば無能な男でない事はわかるのだが、それだけにこの茫洋とした覇気のなさが目についてしまう。昼行燈と呼ばわれるのも無理はない。
「他の行燈が消えてる昼間も稼いでるからな。昼行燈も楽じゃねえよ?」
アスマは藻裾の食いっぷりに目をとられながら続けた。
「コイツは何年も前から今日の準備をして来てたんだ。だから事務方が忙しない今はする事がない。むしろ迂闊にウロつかれると噛みつきたい年寄り連が出張って来るから邪魔になるんだよ。コイツが忙しくなるのは話が決まったこれからだ。ゴタゴタしたのは受け入れるこっちの事情で、磯からの干渉がないせいで反って考えあぐねる羽目になっちまったんだよ。好きにしていいってのは逆に面倒なもんだな」
「磯は特殊な里だっていうのは君も知ってるよね?逃げ上手だってだけじゃない。百人そこそこの里人は四つの師族からなっていて、それぞれが突出した技能を持っている。磯は里自体が形態だった特殊な技能集団なわけ」
「てのは、今日になって綱手様に初めて聞いたんだけどな、オレもカカシも」
「んー、まあ、そういう訳でさ、木の葉にしてみてもなかなかいい話なんだよね、今回の散開は。磯は有能な職人が多いからさ。ただ磯に長老連があるように木の葉にもうるさ方がいるからね。ゴタゴタするのは仕方ない」
「急な事だったしなあ。そこはうらむぜ、波平」
「ま、いんじゃない?面白いよ、磯の人達」
顔をしかめたアスマをよそに、カカシは呑気にメニューを開いて店員を呼び止めた。
「ビールと壷焼きカルビ、水キムチある?ない?んじゃケジャン頼もうかな。ここ、波平さんが持つんでショ?」
「今回は随分タカるな、カカシ」
湯呑みを卓に伏せて、波平が立ち上がった。
「カカシ、お前仕事中だぞ。ビールは止めろビールは」
呆れ顔のアスマにカカシは手を振った。
「オレの仕事はもうおしまい。今回は珍しく事務方頑張ったんだからいいじゃない。代わりにシカマルくん連れてったら?相談役はこれから忙しくなるからね。磯の人に顔も覚えて貰わなくちゃ」
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