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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第24章 It's foolish bird that own.


「磯の影は出歯亀ですねえ・・・」
「誰も彼もくどい。私は影ではありません。しかしこれでも里の束ねですからね。色々と把握している事もある訳ですよ」
「成る程」
鬼鮫はまた薄く笑いながら波平の半眼を見据えた。
「それにしても姉弟で同じような事を言い出す。似ていますね。とすれば、あなたも相当食えない人なのでしょうねえ」
「姉に会いましたか」
「なかなか興味深い女性ですね。しかしあなたと話してみて、一つわかりましたよ。彼女も矢張り過保護な質のようだ」
「姉"も"と申される?では私"も"過保護であるという事でしょうかね。ふむ、成る程」
「甘やかされて放り出される里人も気の毒に。自主性や自立心を養うのに外界との接触は大切なものです。それをぬるま湯につけて怠らせましたね。今まで籠に囲って来た里人達をどう捌くか、あなたが巣を汚して立つ愚かな鳥かどうか、実に見ものですよ」
「これはこれは。預かり知らぬところで要らぬ耳目を集めていたようだ。お騒がせして申し訳ない。しかし磯のごとき小里相手に何の退屈しのぎです?磯があろうがなかろうが、あなたたちには関わりのない小事でしょう」
「関わってしまったのだから仕方ありません。責任の一端はあなたにもある。一年前の仕儀ですよ。何故放り出しました?一度取り零したものはそうそう簡単に戻りはしませんよ」
「それに関して言うならば、責めは確かに私の弱さにあります。しかし取り零したか、戻るか戻らないか、それはどうでしょうね。私やあなたが言い切れるものではない。結果というものはいつどうなるか解らないですからね」
「飼い殺しの籠を開けて気持ちをはっきりさせる?散開という今の今になって?散々飼い殺した挙げ句に負い目を追わせてまで側におきたいんですか?痛々しいですねえ。それが生涯喉に刺さり続ける小骨にならねばいいですがねえ・・・」
「元より長年抱え込んできた私情に今更道連れを求めるつもりはありません。長く側に留めました。確かに過保護で無責任であったかも知れない。しかしそれが私のやり方です。思い定めて刺さるものなら傷みを甘受する事など容易いでしょうが、それをするのは私の本意ではない」


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