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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第24章 It's foolish bird that own.


いのはひっくり返った声を上げて鬼鮫から指輪を引ったくり、レジ下から小さな革袋を取り出して指輪を突っ込んだ。
「うわ、袋まで渋い。もうダサいと言っていい。これおじさんの趣味でしょ?」
「指環と同じ花が捺されてる。・・・水仙?」
鬼鮫はうんざりして懐から金子を掴み出した。
「肝に命じなさい。余計な真似をしなければ、何も起こりはしません。約束を違えて口が滑らないといいですねえ。あなた、口が軽そうだ。生き急がないように気を付ける事ですよ」
耳元に囁いて、駄目押しにもう一睨み、ぶんぶん頷くいのを尻目に鬼鮫は革袋を持ってきびすを返した。
「・・・知人の方に差し上げるんですか?」
ヒナタがおずおずと訊いた。鬼鮫はもう振り返りもしない。
「・・・あの、余計な事かも知れないけど、水仙って、あまりいい意味がないんです・・・。大事な人にあげるなら、違う花の方が・・・」
「・・・いい意味がない?」
「・・・自分勝手とか、自己愛とか、無礼とか」
鬼鮫は思わず噴きかけた。
「毒があるんだよね、水仙って」
サクラが補足する。
鬼鮫はちょっと妙な顔をしたが、口角を上げた。
「それはそれは。知人にぴったりです」
面白そうに言い捨てて店を後にする。あのそそっかしい小娘が騒ぎ立てないか気になるが、相手が三人では始末しようにも流石に騒ぎになるだろう。ここは睨みが効いたと信じて捨て置いた方が早い。
予期せぬ妙な買い物を懐に意識しながら歩く朝の木の葉は活気があった。
「・・・・鬱陶しいですねえ・・」
苛々と呟いて鬼鮫はもう一人、護衛をしていた若い忍を見つけた。心なし牡蠣殻に似ていたのですぐ目についた。テレテレとポケットに手を突っ込んで、所在なげに歩いている。
「・・・次々と面倒な・・・」
身を隠しかけて目を細める。
見つけた。
牡蠣殻だ。
思わず足を踏み出しかけて、傍らの男と女に気付く。
女には見覚えがある。確か裳裾。デイダラと連んでいた声が小さいくせに喧しい妙な
女だ。今も護衛のガキに何やら騒ぎ立てて絡んでいる。
牡蠣殻は朝っぱらから暖簾をかかげる非常識な焼肉屋の看板に見入っている。一見考え深そうだが看板には大きく昼呑みの字があり、牡蠣殻が不届きな思案をあぐねている事、自明の理である。
「・・・何をやってるんです、あのバカ女は。全くどこまでも馬鹿な・・・」




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