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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第24章 It's foolish bird that own.


花の中に背の高い鳥籠があった。なかに鈍色の指輪が幾つか、これも矢張り鈍色の鎖に下げられてある。何れもゴツゴツした武骨な造りで、花が刻まれてはいるものの女性向けとは言い難い。
「ちょっとこれはないんじゃないの?まさかこれを勧める気?私達に?うーん・・・どう?ヒナタ?」
「・・・男の子にはいいんじゃないかな・・でも確かに私達には向かないみたい・・・それにちょっと高価いかな・・・」
ヒナタと呼ばれた娘が、籠を開けて向日葵が印された指輪を手に取った。
「アンティークなのね?」
「銀製の匙を打直した一品ものだよ。でもまあ、やっぱアンタらには無理か。値段も張るしねえ・・・」
鬼鮫の事も忘れた様子でいのが残念そうに言う。
「アスマにでも売り付けようか。こりゃ大人の男向けだ」
ここでヒナタが鬼鮫に目を止めた。
「・・・大人の男の人・・・」
いのと、もう一人の娘、サクラも鬼鮫を見る。
鬼鮫は我知らず考え込みながら丈の高い鳥籠に見入っていたが、三人の視線に気付いて眉をひそめた。
「・・・・もしかして、興味あります?」
恐る恐るいのが尋ねて来る。
「は?何にですか?これにですか?あるわけないでしょう。下らない」
「・・・でも、見てましたよね?」
ヒナタの言葉に鬼鮫は眉を上げる。
「見ちゃ行けませんか?指環に興味なんぞありません。鳥籠に草花のモチーフが知人を思わせたので目を止めたまで。失礼」
「・・・でも、指環してるよね」
行きかけた鬼鮫の背中に、何心ないサクラの一言が投げ掛けられた。気付くと三人の目が鬼鮫の左手の薬指に注がれている。
鬼鮫はいのを睨み付けた。いのはヒャッと首をすくめて目をそらし、サクラとヒナタの背中を押した。
「も、もういいよ、アタシの部屋行こう、ね」
「お客さんほっといて?何言ってんの、アンタ。駄目だよ、そんなんじゃ」
「ちが・・・」
言いかけたいのをまた睨み付けて、鬼鮫は鳥籠から一つ指輪を鎖ごと取り上げた。
「口止めという事でいいですか?面倒なんですよ、あなた」
「えッ!買うの?・・・ですか?」
「売らないんですか?望むところです。早くそっちの口さがない友達を連れて下がりなさい」
「・・・何?この人?」
サクラが不審げに顔をしかめた。
鬼鮫は三度いのを睨み付ける。
「何って!お客さんでしょ!ありがとうございます!」


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