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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第22章 取り敢えずの円団と屈託のある別れ


我愛羅は藻裾の髪を掻き上げて、額を覗き込んだ。
「・・・砂漠のムツゴロウだな、うん」
「・・・や、もうイリュージョンじゃん?ジャーキー最強じゃん・・・」
再び呆気に取られるデイダラとカンクロウの前で、我愛羅を見上げた藻裾がポロッとこぼした。
「・・・やべえ。惚れた」
「・・・え・・・えええええエェェェ!!!???」
カンクロウとデイダラが声を合わせて仰け反る。
「あらあらまあまあ」
杏可也がまた一人でにこにこする。我愛羅は僅かに眉をひそめて何か言いかけたが、フと顔を上げて辺りを見回した。
「・・・?何だ?・・・何か・・」
杏可也と藻裾の腕を引いて後ろへ退け、左右へ目を走らせる。
デイダラとカンクロウも思わず知らず背中合わせで警戒の態勢をとった。
「待って、これは・・・」
杏可也が両手を胸の前に上げて皆を見回した。
下生えの草がフゥと引き上げられる様に動き、深水とイタチが現れた。
「旦那様」
杏可也が我愛羅の後から出て深水に駆け寄る。深水は顔をくしゃくしゃにして杏可也を抱き止めた。
「大事ないか?杏可也。難儀をかけて悪かった。許してくれ」
「何を言われます、あなた。それより聞いて!杏可也はお子と空を飛びましてよ」
「飛んだ?」
「ええ、飛びましたの!」
抱き合う深水と杏可也から視線を周りに移したイタチが、デイダラに目を止めた。しげしげとその顔を見てフと笑う。
「いい仕事をしたらしい」
「な、何だ、偉そうに。来んのが遅えんだ、テメエは!うん」
「そうだな、遅くなった。その分お前がしっかり務めてくれて助かった。礼を言う」
「今回は役に立ったようですねえ。珍しく」
「わあ、何だ、コイツ!でけえじゃん!?」
いきなり隣に現れた鬼鮫にカンクロウが飛び下がる。それを横目に鬼鮫は我愛羅を見やった。
我愛羅は難しい顔で鬼鮫達を見ている。イタチが鬼鮫とデイダラの隣に立った。
「思うところはあるだろうが、それはお互い様だ。今回は害意があって現れた訳ではない」
「何故お前達が叔母上に係りあっている?」
「この件に関して私たちは後難をかけませんよ。見なかった事にしませんか」
「何なら礼を言って貰いてェよ。うん」
デイダラは深水に一生懸命話している杏可也を見て笑った。
「アンタの叔母さんは綺麗な人だ。オイラあんな綺麗な女は初めて見た。アンタが羨ましいよ、うん」
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