第22章 取り敢えずの円団と屈託のある別れ
「何だよ、やっぱ花火じゃねえかよ、自分で言っちゃったよ、この人は」
「ち、違う!花火じゃねえ、、爆発だ!」
「どっちだっていいじゃん、おい、もうコイツ放すぞ。アンタ、逃げる用意しといた方がいいんじゃん?俺も逃げるけど。いいか?」
「誰が逃げるか!逃げなきゃないようなこたァやってねんだ、オイラは!余計な世話かけさせやがってむしろサルが謝るべきだろ!今度と言う今度は怒ったぞ、オイラは!もう知らねえよ、こんなバカ女!」
到頭デイダラの堪忍袋の緒が切れた。
「や、ちょ、そんな怒んなよ。離し辛いじゃん。勘弁じゃん!」
藻裾を押さえていたカンクロウが焦る。藻裾はフンと鼻を鳴らしてカンクロウを振り払おうともがいた。
「離し辛い事あるか。とっとと放せ、バカタレ」
「叔母上、失礼」
ここで我愛羅が傍らの杏可也の肩に手をかけて前に出た。すたすたと藻裾に歩み寄り、その額をパチンと指できつく弾いた。
「いい加減にしろ。皆困っているぞ」
「・・・・・・・・」
藻裾はポカンとした。
カンクロウも呆気に取られて藻裾から手を放したし、デイダラは口を開けて藻裾と我愛羅を見比べた。杏可也は一人でにこにこしている。
「良かったわねえ、藻裾。ちゃんと怒ってくれる人がいて」
「杏可也さん、ヤバい、今アタシ、アムロ・レイ真っ最中。・・・ヤバい、クソ萌える・・・」
額を押さえて藻裾は静かに興奮している。杏可也がにこにこと突っ込む。
「藻裾、あの甘ったれなら額ではなく頬ですよ?」
「無問題。十分萌える」
デイダラは呆れ返った。
「仕様もねえヤツだな、オメエはホントによ・・・」
「おい、我愛羅、スタートダッシュの準備はいいか?あれにデコピンなんか食らわせた日には地の果てまで追いかけ回されるぞ?逃げた方がいいんじゃん?」
カンクロウがジリジリと藻裾から離れながら我愛羅に忠告する。
「逃げるような事はしていない。そうだな?」
我愛羅はデイダラを見て言った。デイダラは顔をしかめて、
「してねえよ、アンタもオイラも。けどさ、女を殴んのはいただけねえな、うん。いくら相手が狂犬病のサルでもよ」
「俺はそういう考え方は嫌いだ。男でも女でも悪いものは悪い。聞き分けなければならない事がある。男女の別は関係ない」
我愛羅はキッパリ言い切ると藻裾を見た。
「とは言え、乱暴したのは悪かった。痛かったか?すまない」