第22章 取り敢えずの円団と屈託のある別れ
「必ずしも伝える必要はないよ。そばにいてくれさえすれば。そうだな。そばにいる事を選んでくれて、私にその身を守らせてくれれば、何一つ言う事はないよ」
「そいつは贅沢で難しい望みだぞ」
「まあね。ならば、生きていてくれればいい、にしておこうか」
「いきなり飛ぶな、お前」
「まあ、そんな気持ちだって事だよ」
波平はあぐらの膝に肘をついた。指の甲で頬杖し、朝焼けに染まる里を見回す。
「今日はちょっと忙しくなるな」
アスマはあぐらのまま大きく伸びをして欠伸をかいた。
「いいさ。お前とはなかなか会えないからな。たまの事なら骨折りも悪くない。まあよ、どう転んでもまた顔を見せろよな?波平」
「そうだな。お前自慢の教え子にも興味があるし、何より紅との式にも呼んで貰わなければならないしな」
波平は珍しく笑った。あまり珍しいので、何か言いかけたアスマも思わず笑い返す。
日が中天に昇る頃には、磯の里人たちに選択を促す報せが届く。その日が陰る頃までに、磯人であり続けたい里人は波平の元へ集まり、木の葉を出る事になっている。
「事がすんでしまう前に戻って来るかな、私の補佐と側近は・・・」
稜線を見やりながら波平は呟く。
散開のときが近い。
「はああぁぁァ、ウンジャンウンジャンうるせんだよ、ウンジャンセットかアンタらは!
何得だ?何曜ランチだ?デザートは何だ!?オメエらか!?肝心のメインは勿論肉なんだろォなあァ!?あァ!?」
着地したデイダラの頭を髷がもげ飛ぶ勢いで殴り付け、二発目を繰り出さんとしたところを見かねたカンクロウに羽交い締めされ、諫められ、デイダラに何すんだ、テメエは、ふざけんな、うん?と怒鳴り付けられた。
そんな藻裾が繰り出したのが上のやんちゃな発言である。さあ、悪いのは誰だ。
藻裾だ。
「いきなり乱暴を働くのはいい事ではない」
デイダラに胡乱な目を向けてはいるものの、我愛羅は公平に言った。
「おう、言ってやれ我愛羅。ジャーキーの恩でコイツ、お前の話は聞く耳持つじゃん?だででッ、噛みつくなコラ!山に帰すぞこの化け!!!」
「気安く触んじゃねえ、ジャンジャン!離さねえと煎餅みてえに噛み砕くぞ」
「テメエこそ気安く人の頭殴ってンじゃねえ、バカチビ小猿!いい加減にしねえと打ち上げ花火に仕込んで粉々にすっぞ、あぁ?うん?」