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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第20章 性の合わない真面目が二人


「成る程。ではイタチさん・・・」
「うむ・・・」
頷き会って、二人は同時に消えた。
椅子の背に左肘をかけ、卓の上に軽く握った右手を置いた格好で、角都は微動だにしない。ただ、眉をピクリと上げた。
「・・・何がしたいんだ、あの二人は・・・」
「・・・・!?・・・!!!・・・・!・・・・!!・・・・・・・・!!!!!」
隣のサソリの部屋から怒声と罵声とガタガタいう音が聞こえてきた。
角都はそちらに顔を向けてしばし耳を澄まし、罵声も怒声も止まないのを確認すると溜め息を吐いて立ち上がった。
「鬼鮫と牡蠣殻ァどこだ!?テメエら不愉快な四人組、まとめてぶっ殺す!!!」
サソリが傀儡の修理に使う千枚通しを手に怒鳴り散らしている。それを聞いた深水は明らさまに厭な顔をして頭を振った。
「あまり語らいたい顔触れではありませんな・・・」
「・・・あなたも含まれているのは理解されているのか?」
イタチが淡々と確認をいれる。深水はイタチをチラリと見て、また頭を振った。
「・・・不愉快ですな」
「不愉快なのはこっちだ。何の真似だ?あァ?何でテメエらが俺の部屋に湧いて出んだ?取り合えず並べ。順番にバラしてやる。使える部品は後で使ってやっからよ。ありがたく思え、あ?」
「・・・何の話です?」
「殺してさばいて傀儡の材料にするという話だ。サソリの趣味は人形だからな・・・」
「微妙に誤解を招くような言い方すんな、イタチ。ムカつくな、まずオメエからか?」
「いやいや、私を食べても旨くありませんよ?」
「誰の何の話を聞いて口挟んでんだ、この不良品はよ!まずイタチだっつってんだろうが!誰がテメエなんか食うか、このバカ!何の話だ、くされフカ!ポンコツは黙ってろ!」
「気持ちはわかるが落ち着け、サソリ」
騒ぎに乗じてひっそりと部屋に入った角都がサソリを止めた。サソリは角都を目に止めて、ますますいきり立った。
「こんだじいさんのお出ましかよ!?ふざけてんじゃねぞ、俺の部屋はハチ公前でもアルタ前でもねえ!!馬鹿の集会は他所で待ち合わせて開きやがれ!!!」
「馬鹿は集会など開かないし待ち合わせたりもしない。自然に集まって群れるものだ」
諦観の表情で語る角都にサソリは、端整な顔をムンクの叫びのごとく歪めた。
「止めろオ!ンな事言ったら飛段のいる暁は自然発生したバカの巣になっちまうだろおぉ!?」

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