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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第20章 性の合わない真面目が二人


「・・・おい。何をしている」
「いや、反省会を・・・」
イタチが至極真面目に角都に答える。深水も頷いた。
「一回目は侍の国で・・・」
「流石鉄の侍連は初動が早い。瞬く間に包囲されてしまった・・・」
「マカロニウェスタンさながらでしたな」
「ジェンマは好きだ・・・シビれる・・・」
「二回目は性別の定かでない人物が嬉々としてイタチさんに飛び掛かって来たので驚きました・・・何ですか、あのおじさんともおばさんともつかぬ方は・・・」
「・・・・あなたは本当に何も知らないでカブトと会っていたのだな」
「・・・大蛇丸か?本当に何をしているんだ、お前たちは」
角都が諦めの色を浮かべて、寝台から卓に動いた。
「何故そんな馬鹿げた事になった。イタチらしくもない」
イタチは考え深く目を伏せた。
「深水さんの瞬身は通常のものと質が違っている気がする。それが互いに引き摺られるような感覚のもとになっているのではないかと思うのだが・・・」
「質が違うのは当然です。私は瞬身の術など使えませぬ故」
イタチは目を細めた。
「・・・使えない?では先刻からどうやって移動を?」
「どうと言われましても・・・私たち磯の者は、ただ出来るのですよ。物心つく頃から少しずつ顕著になり始め、年と共に自然と使いこなす事を身に付けていく、そういう成長の段階に組み込まれた当然の力故、その様なお尋ねには明快に返答しかねますな」
イタチと角都は目を見交わした。
「私たちは失せると申しております。失せ方の巧い者は逃げ功者隠れ功者と呼ばれます。里の外にもこの呼び名は流れ出ているようですが、伝わっているものはちと意味合いが違う。周りの者をさえ連れて失せる事が出来る者だけが功者と呼ばれるのです」
「・・・血継限界・・・いや、違うな・・・しかしいずれ血の業か?」
「もう別々に移動したらどうだ。場所を決めてバラけて行け」
角都が懐手で椅子の背に身を預け、雑に言った。
「何故お前たちの移動が上手くいかないかはわからない。単純に術の相性かも知れないし、磯の術が生まれもっての性のものだというなら、その性がお前たちは合わないのかも知れない。いずれにしろ、単独で動く分に問題がないなら目的地で落ち合え。バカ真面目に二人一緒の必要はない。護衛さえ出来ればいいのだから移動の時間がひどく前後しない限りさしたる問題はない筈だ」
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