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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第20章 性の合わない真面目が二人


三回目。
もう三回目だ。
"・・・おかしい。どうした事か・・・"
深水に付き添って暁を出、砂の国境北を目指して移動したのはいいが、埒もあかない場所へ着く事をもう三度も繰り返している。
イタチは解せない表情で深水を見た。深水も渋い顔でイタチを見ている。
「どうも上手くいきませんな」
「何故こんな事になるのか、原因が解らない・・・」
「どうも移動の際に引き摺られるような感覚がある・・・もう少し互いに気を揃えて動かねば」
「引き摺られる感は、俺も気付いていた。何だろうか・・・」
「・・・二人でブツブツ言っていないで、さっさと動いたらどうだ。正直猛烈に邪魔だ」
浴衣姿で半身起こした角都が静かに口を挟んで来た。
角都の寝台の上で正座を突き合わせて話していた二人は、ハッとして立ち上がった。
「これは申し訳ない。とんだ邪魔をしてしまいましたな」
「すまない。だが、わざとではない・・・」
「わざとだったら気味が悪いのにも程がある。任務に失敗して戻って来るにしても、他に幾らでもまともな戻り方があるだろう。何をやっているんだ、お前たちは」
「失敗・・・」
「以外の何だ、この様は。兎に角早く退け。とんでもなく不愉快だ」
「でしょうなあ。察して余り有る・・・」
「・・・確かに夜中に男二人が寝台に現れるというのはゾッとしない・・・」
深水もイタチも深い同情の目を角都へ向けた。
「イタチに深水よ」
角都はしんとした目で二人を見返した。
「先刻から土足で俺の寝台に立ちっぱなしだが、自殺願望でもあるのか?殺されたい症候群か?」
「おお、これは失敬いたした。さ、イタチさん、下りましょう」
「ああ。すまなかった、角都」
二人は口々に謝罪すると寝台を下りて卓についた。
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