• テキストサイズ

連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第19章 降り落ちる災難


カンクロウは恐ろしげに藻裾を見てジリジリと後退りした。
「どいつもこいつもこの夜中に何やってんじゃん?夜は寝るもんだって、寝ろ、ホント」
「・・・・フ。いつも夜寝て俺を放っておくからこんな目にあうのだ」
「何ソレ?こんなときに何の恨み言?バカ言ってねえでお前も寝りゃいいじゃん!大体お前は守鶴と話し合いが足りてねえじゃん。夜は寝るもんだってちゃんと説明しとけ!俺はもう帰って寝てェじゃん!」
「・・・・フ。様を見ろ。俺はひとつも眠くないぞ」
「じゃあいいじゃん!恨み言言ってねえで一人で起きてりゃいいじゃん。叔母さんも化けも皆お前にくれてやるじゃん!」
「くれてやるじゃんじゃねえじゃん!おいコラジャンジャン、観音様みてえに綺麗な人と頭にでっけえ筆先載っけたちっこい男を見なかったか」
藻裾の問いにカンクロウは呆れた。
「また頭に変なモン載っけたヤツを探してんのか。何かの罰ゲームか?」
「罰ゲームならとっくにバックれてるわ。ジャンジャンこそ何やってんだよ。昼も夜も山に籠って絶賛世捨て人開催中か?そんなに山が好きか?熊よけの鈴は持ったか?履き慣れた靴履いてきたか?防寒対策はバッチリか?食いモンは持って来たかァァ?ウゥ、ガルルルルル」
「ガ・・・ガルルルルル?て、何?あ、怖い。昼より怖くなってんじゃん。来んな、そんな面してこっち来んな!ヤだちょっと、止めてェ!キャーッ」
「・・・食い物ならある」
カンクロウの帽子に噛み付いていた藻裾が、我愛羅を見た。
「肉?」
藻裾の問いに我愛羅は鷹揚に頷く。
「砂肝ジャーキー」
「よし、くれ」
突き出された藻裾の掌を見下ろし、我愛羅は首を振った。
「人に何か頼むときは相応の態度をとるものだ。あなたの態度はまるでなっていない」
「あ?」
「あ?ではない。きちんとお願いするべきだ」
カンクロウが息を詰めて見守る前で、驚くべき事が起きた。
藻裾が素直に頷いたのである。
「そりゃそうだ。スイマセンでしたね。腹減ってるんで、ジャーキー下さい」
「俺の食べかけで良ければ」
「・・・た、食べかけかよ」
「ありがとう。恩にきます」
「は?いいの?恩に来ちゃうの?てかアンタ誰?一瞬で別人みたくなってんじゃん!フに落ちねええェ!」

/ 249ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp