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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第16章 八面六臂


「・・・おかしいな・・・いや、カバトってなんだよ」
「おかしかねぇよ。寝むかねぇもん。フ。バカとカバとカブトが被っちまって言い違えちまったよォ。俺もバカだねぇ。カバトンほどじゃねぇけどよォ」
「カ、カバトン・・・おい、勝手に活用するなよ!君たちは人をイラつかせるのが巧いな。腹が立つよ」
「何だか最近は誰も彼も人ォイラつかせんのが巧くなって来てる気がすんなァ・・・まあ、落ち着けよカバ。春にはムーミン谷の裸の大将も帰って来っからヨ。それまではカバコやちっさい黒柳徹子と遊んでなァ。ぷぷ」
「誰が今日のゲストだ。分かったよ。今ここで始末してやるよ。死なない体から血が抜けるとどうなるか、面白い実験だとは思わないか?」
「んー、ダルくなんじゃねぇ?」
飛段は牡蠣殻と背中合わせになりながら、周りを囲む連中を呑気に見回す。
「今日はジャシン様大喜びだわ。儀式してる暇あっかなァ・・・」
「その前に眠りこけない事を祈ってやるよ」
カブトが交差した手を広げて放った二つのクナイが飛段目掛けて風を切る。
飛段は懐から取り出した細い太刀を一振りしてその刀身をジャキリと伸ばし、クナイを横殴りに弾いた。
「小手調べして時間稼ぎですかァ?アンタ小者だねぇ。こちとら明日遠足のガキ並みに目ェらんらんだっつの」
薄笑いしながら太刀を肩にかけ、首に下げたペンダントトップに唇を寄せる。タラタラと止まらない血が鮮やかな赤でトップスを彩る。
飛段は舌なめずりして顎を上げた。
「ふうぅう。よォし、乗ってきた乗ってきたあアアァァア!ゲハハハ、死にてえヤツからかかって来なアァ?まとめてぶっ殺してやんぜええぇぇぇ!!!」
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