第14章 汐田藻裾
「ツ・・・ツビ?何だ、そりゃ?」
「だらジュンク堂行けっつってんじゃねえか、わかんねェツビですねえ。ジュンク堂がヤなら丸善行け。ついでにハヤシライステイクアウトしてアタシに持って来い。望むところだ、十人前はいけるわ。テメエなんざ薬味にしてついでに食っちまうぞ。チ、我ながらベシャリに切れがねえ。マジ電池切れ。てか停電するわ。原発停止レベルだわ。風も止まるし水も流れねえ。太陽光もどしゃ降りでおじゃんだわ。ちくしょう、あー腹減ったああぁぁぁァァ!」
「・・・汐田さん。手伝って下さい。・・・後で美食倶楽部連れてってあげますから」
「マァジ?牡蠣殻さんマジ?いつ政治家になっちゃったの?ん?ヘボヤンで一山当てて社長になっちゃった?もオ、いんですよ、自分岡星で十分デス。一升庵サイコオーォ!てか何なら弁護士の作る家飯で全然OKだしィ~!」
「スピリッツからモーニングまで、守備範囲広いですねえ・・・」
「や、アタシコミック派ですから」
藻裾は疑わしげに牡蠣殻を見た。
「で、何ですか。何を手伝えってんです?何か今の牡蠣殻さんおっかねえんですよねェ。何処で何やってたのか、今何やろうとしてんだかよくわかんねえから・・・」
「杏可也さんに会いたい。何処にいるかわかりますか?」
「はあはあ、杏可也さんなら木の葉の知り合いンとこにいますよ?」
「案内して下さい」
「そりゃしろってんならしねえでもないスけどね。何で今が今血相変えて杏可也さんに会いたがるんだか教えて下さいよ。アンタさっきまで波平様に会いたがってたでしょ?そっちはよくなっちゃったんですか?アンタホント、ヘボヤンと連んで何やってるんです?迂闊な事に手ェ出してたら、死にますよ。それでなくても人よりくたばり易く出来てんだから」
「波平様から深水先生の話を何か聞きました?」
「さあ?アタシは聞いてませんよ?てかそういや見かけねえな、あのクソジジイ・・・」
「クソジジイは止めなさい。汐田さん、改めて、こちらデイダラさんと飛段さんです。杏可也さんに会うのを助けて下さいます」
「はああァ?」
「予期せぬ事態が出来する可能性があると思ってくれて結構。事情が知りたければ説明しないでもありませんが、出来たら後にしてくれれば恩に着ます」
「予期せぬ事態ねえ。暴れていいってコト?」
「場合によってはそうなりますねえ・・・」
「了解。案内しますよ」