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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第14章 汐田藻裾


「貴女にはね、鏡がないと見えないんですよ、その狂ったチワワは。不思議ですねえ」
「アハ、まった~、アタシのことっしょ?ラブリ~。アップルドーム真っ二つにしちゃうよォ?」
「・・・死ぬ気ですか?」
「くふふ。チワワ~、アタシそんなに可愛いスかね~ヤッバ~い~」
「心は土佐犬ですけどね。・・・いや、それじゃ土佐犬に酷すぎるな・・。大体チワワってそんなに可愛いですかね・・・」
「ぷぷ、見かけはチワワ心は土佐犬、その名もォ名犬モッソオォォ!!!」
「そうですか。黒い組織にチワワにされちゃったんですか。土佐犬が遊園地なんか行くからですよ。まあ、早く土佐犬に戻れるといいですね。戻るときは矢っ張り人里離れて下さいよ?そしてそのまま野生に帰ってしまいなさい」
出血はないもののズキズキと痛む頬を押さえながら牡蠣殻は食堂を出た。後から藻裾がしゃきしゃきと着いてくる。
「しかし真面目な話、また何処ふらついてたんですよ?こんなんなったら波平様もアンタの扱いに口ィ出せなくなっちゃいますよ?三代目取り巻きだったお歴々が、ここぞとばかりに悪口雑言ですよ。三代目も早いとこアイツらァ連れてってくれりゃいいのに、何やってんですかね、ったく」
「何って・・・無事成仏なさってるんでしょう。便りがないのは良い便り、後生よく冥土にいらしてるんじゃないですかね」
「仮にも磯影なら化けて出るくらいしてみろってんですよ。コンジョだ、コンジョオォ!」
「・・・Eテレにまで触手を伸ばしてるんですか?しかもまた微妙に地味かつ古いところを・・・」
「な~ん言っちゃってんですかァ、Eテレなんかアタシの心の故郷デスよ!カントリーロードオォ!初恋なンかストレッチマンですモン。萌えるわァ、全身タイツゥ~!過呼吸必至~!この道ずっと行っちゃうよオォォ!」
「・・・もしかしなくても貴女は、腐女子じゃなくてラウンドの広いただの変態なんじゃないですか?」
「いいえ、アタシは腐女子です」
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