第14章 汐田藻裾
「呼んでくれという貴女のみならず、呼んでいる方までバカみたいに見えるからでしょうね。きっと。波平様は何処ですか」
「あ~、毛が一本の父さんは伊佐坂さんたちと呑み行っちゃってますよオ、裸足で駆けてく陽気なお姉さァん」
「貝違いですよ。うちの貝はトグロ巻いてません。貴女そんな事言ってると波平様に三日三晩のエンドレスランくらいますよ。血反吐吐くまで日曜六時半ですよ」
「ギャハハ、望むところだわ!アタシの花沢さんトークで返り討ち~」
「人里離れて二人きりでどうぞ。かけうる迷惑を考慮するのは大切な事です」
忠告して牡蠣殻は顔をしかめた。
「呑み?案外大した事は起きてない?そういう事ですか・・・?なら・・・いいか?いや、まさかまさかいい訳ないでしょう。しかし呑み?え?は?」
「大した事ッスよオ!牡蠣殻さん何処行ってたんですか?男ンとこ?何しに行ったんですゥ?ヤッベ、牡蠣殻さんノッコミシーズンにインかよ、だっはァ笑えるぅ~」
「・・・ホント独りで突っ走りますよね、どこまでも」
「体力にゃ自信ありマスからね~一週間ぶっ通しで百人一首やっちゃうよォ!かかってこいや千早あァああァァ、アタシの太一をこっぴどく振りやがって、お陰でたいちゃん出番激減ンン!ぶってンじゃねえぞ千早あァ!!!テメエの顔面にお手付き連打してやらあァァァ!!!神代も聞かねェよ?竜田川だよごらあァァ!!!」
「あーはいはい、獣道を駆け登り始めましたね。いよいよ独りでやって下さい。私は波平様を探さなければ。図らずも物凄く時間を無駄にしてしまいました。お邪魔しましたね。じゃ、多分、もしかしたら、出来れば避けたいところですが、また後で会いましょう」
「えー、待って下さいよォ。波平様ンとこ行くならご一緒しますって。福利厚生福利厚生」
「いいから御飯食べてなさい。あそこで半分泣いてる妙齢の女性が作っているのは貴女の夕餉でしょう。ちゃんと頂きなさい」
「アレはアレでちゃんと食いますよオ。オバチャン安心しなよォ、アレ?マジ泣いちゃって、何々どしたのオ?ヤッパリバスケがやりたい訳?ミッチー?ミッチーか?残念、アタシ流川派ァ!てか誰が安西先生だぐらァ!」
「わかった、わかったから罪のない人に迷惑をかけるのは止めなさい。すいません、うちのチワワが迷惑かけましたね。今ハウスしますから」
「チワワァ?可愛ゆす~。何処?」